西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

しなの鉄道快速「軽井沢リゾート2号」乗車記(長野9:11→軽井沢10:13)

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JR東日本長野駅コンコース。

長野駅は長野冬季五輪開催を翌年に控えた1997年、北陸新幹線の長野開通にあわせ、現在の橋上駅舎となりました。

今回はここから第3セクターしなの鉄道に乗り入れる快速列車「軽井沢リゾート号」に乗車し軽井沢へ向かいます。

※本記事掲載のダイヤ、運賃、料金、サービス内容等は、2021年7月現在のものです。

 

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長野から運賃表右下の軽井沢までは1670円。

 篠ノ井までのJR区間が200円、篠ノ井からのしなの鉄道線区間が1470円です。

 

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快速軽井沢リゾート号は土曜休日のみ1日2往復の運転です。

今回は長野発9:11の2号に乗車します。

 

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長野駅6番線に入線した快速軽井沢リゾート2号。

SR1系と呼ばれる、しなの鉄道の最新型車両2両編成での運転です。

 快速軽井沢リゾート号は全車指定席で、しなの鉄道のサイトから事前予約することができます。

 

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今回座席指定した前寄り1号車の車内。

3扉車両に2人掛シートが並ぶ車内は、京阪神や名古屋周辺の新快速を連想させます。

この車両の座席指定料金は500円です。

 

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指定の席に着席。

シートピッチは広く、足元にはドリンクホルダーとコンセントが設置されています。

 

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こちらは後寄り2号車の車内。

2号車は軽食付きプランでの利用となり、追加料金は2000円。

写真のように半数の座席を埋める形で大きなテーブルが設置され、

予約が入っている席には、長野駅入線時点でSR1系柄の掛け紙が添えられた軽食ボックスが置かれていました。

1人で専有できる面積も広く値段の価値はありそうですが、

始発の長野駅発車時刻が9:11、終点軽井沢到着が10:13という2号のダイヤでは、朝食には遅く昼食には早過ぎると思い、

今回は、朝食後に座席のみの1号車に乗車することにした次第です。

 

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定刻に長野駅を発車。

長野止まりの北陸新幹線あさま603号が入れ違いに長野駅新幹線ホームに進入していきます。

長野を発車した列車は、先述のように4駅目にあたる篠ノ井まではJR東日本信越本線を走行、篠ノ井から先しなの鉄道線に入ります。

しなの鉄道は終点軽井沢まで全線が元JR東日本信越本線で、1997年の北陸新幹線長野開通により、篠ノ井〜軽井沢間を並行在来線としてJRから移管され発足した第3セクター鉄道です。

長野から終点の軽井沢まで、元は信越本線という1本の路線だったため、しなの鉄道の列車は、会社境界の篠ノ井を通る全列車がJRと直通するダイヤになっています。

 

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快速軽井沢リゾート号は篠ノ井駅を通過。

しなの鉄道線区間に入ると間もなく信濃川と名を変え新潟市から日本海に注ぐ大河千曲川にかかる鉄橋を渡ります。

 

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9:23、長野を発車して最初の停車駅屋代に到着。

進行方向左手に見える写真のホームには長野電鉄屋代線の電車が発着していましたが、利用者の減少により2012年に廃止されました。

国鉄時代には東京方面からの列車が当駅を介し長野電鉄に直通する設定もあったようです。

私鉄との直通は民営化以前の国鉄時代のほうが盛んで、富山地方鉄道、名古屋鉄道、南海電鉄、島原鉄道など多数の事例がありましたが、いずれも現在では廃止されています。

 

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駅舎側には長野行の普通列車が到着。

湘南色と呼ばれる国鉄時代の塗装に戻された115系での運転です。

 

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しなの鉄道では、他にも台湾の在来線を運行する台鉄の特急列車をイメージした車両なども運行されています。

 

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坂城駅前には、しなの鉄道で2013年まで活躍していた国鉄型急行電車169系が、国鉄時代の塗装に戻され静態保存されています。

 

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坂城駅は通過のため、実物は上手く写せませんでしたが、車内前方に設置されたモニターでも紹介されていました。

 

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左手から北陸新幹線の高架線が近づくと間もなく上田。

上田は、しなの鉄道沿線最大の都市で県庁所在地である長野との行き来も少なくありません。

長野〜上田を新幹線で移動すると12分・1470円であるのに対し、しなの鉄道の普通列車は45分・780円となっており、その差690円。

これは実質的に在来線特急と同等の追加料金で新幹線を利用できることを意味します。

 

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 9:39。普通列車で45分程度の区間を28分で走り上田駅に到着。

快速軽井沢リゾート号が土曜休日の運転であるのに対し、平日の朝夕には同じSR1系を使用した快速しなのサンライズ号・サンセット号が運転されています。

快速しなのサンセット号の場合、長野〜上田間ノンストップで所要時間26分、座席指定料金は300円で、

料金、所要時間いずれも新幹線と、しなの鉄道普通列車の中間に位置する存在です。

 

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 上田を発車した列車は起伏に富んた地形に敷かれた軌道を軽快な速度で進みます。

しなの鉄道の運転本数は、長野、篠ノ井〜上田間が1時間に2〜3本、上田〜軽井沢間は1時間に1〜2本程度。

それに加えて貨物列車が篠ノ井〜坂城間に数本程度となっていますが、

特急列車が多数運転されていた新幹線開通前のJR時代のまま全線が複線であり、一見すると輸送実態に比してインフラが過剰なようにも見えます。

昨今、JRでは経営合理化のため複線路線の単線化や電化路線の非電化化などが検討されているようですが、

特に複線を単線にすることについては、信号、踏切など多くの施設改修が必要であり、

その費用を単線化後に、複線維持の場合のランニングコストとの差で、現実的な期間で回収できるケースは少ないのではないでしょうか。

 

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JR小海線乗り換えの小諸駅も通過。

新幹線のルートから外れた小諸ですが、駅から徒歩圏内に小諸城址などの観光スポットがあり鉄道で訪問するには適しています。

大都市圏から近い或いはアクセスが良く、気候や自然環境に恵まれ、観光一色ではなく一定の生活インフラが整っている地方都市の、古いが安い宿泊施設に1〜2週間滞在するような旅行が、今後は日本でも広まっていくのではないか。と個人的に思っています。

ホテル滞在の合間に散歩程度で訪問できる静かな観光スポットがあればなおよく、長野県であれば、小諸や岡谷などがその条件を満たしてくれそうです。

 

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小諸を過ぎると間もなく左の車窓には浅間山が姿を現しますが、夏場は雲がかかりやすいようです。

 

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10:07中軽井沢に停車。

 

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10:13終点軽井沢に到着。

普通列車だと1時間半程度かかる長野〜軽井沢間を1時間2分で走破した計算です。

ちなみに北陸新幹線開通まで運転されていた特急あさま号は最高時速120Kmで、同区間を50分〜55分で程度で結んでいましたが、

軽井沢から先、次の横川までの区間は、碓氷峠の急勾配を下るため、補助機関車の連結を必要とし、軽井沢到着からその補助機関車を切り離して横川駅を発車するまで30分以上を要していました。

 

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軽井沢駅に到着したSR1系軽井沢リゾート号。

濃いブルーの塗装が秀逸です。

 

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向かいのホームではしなの鉄道のクルーズ列車「ろくもん」が発車を待っていました。

隣に見える機関車は1997年10月1日の北陸新幹線開通の前日に、横川から補助機関車として碓氷峠を登ってきたのち、翌日の新幹線開通で在来線の碓氷峠区間が廃止となり、そのまま軽井沢駅で静態保存という運びになったようです。

 

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駅改札口へ向かう前に、改札内にある「森の小リスキッズクラブ」に立ち寄り。

 

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 店内にはしなの鉄道グッズが並んでおり、キッズクラブとありますが、大きなお友達向けと思われるマニアックな商品も多数ありました。

 

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しなの鉄道軽井沢駅舎。

新幹線開通後長らく駅としては使用されていませんでしたが、近年リニューアルされ、再び駅舎として本来の用途で使われるようになりました。

 

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軽井沢駅にしばらく滞在したのち、115系で運転の10:50発の普通列車で小諸まで戻り、JR小海線に乗り継ぎます。

 

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国鉄→JR→しなの鉄道と引き継がれてきた115系ですが、大掛かりな改造は受けておらず、車内は4人掛けセミクロスシートの原型を留めています。

 

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希少車両として注目されファンが押しかける前の今のうちに、ゆったりと静かな車内で車窓を楽しみつつ独特の走行音に耳を傾けたいものです。

 

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 11:13小諸着。

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【乗り継ぎ割引適用可】特急しらゆき号→北陸新幹線乗り継ぎ乗車記(新潟16:24→18:23上越妙高19:14→長野19:38)

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JR東日本新潟駅万代口。

在来線ホームが高架化された後も長らくその姿を保っていた万代口駅舎もついに解体工事が始まりました。

 

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 今回は新潟駅から信越本線経由で上越妙高へ向かう、特急しらゆき号と北陸新幹線を乗り継いで長野へ向かいます。

写真は特急しらゆき号の指定席特急券と北陸新幹線の自由席特急券です。

特急しらゆき号は新潟から直江津までJR信越本線を走行しますが、直江津からは第3セクターの「えちごトキめき鉄道」に乗り入れ、終点の上越妙高に到着します。

北陸新幹線とはJR同士の乗り継ぎとならないため、

本来は、新幹線と在来線特急を同日に乗り継ぐ場合、在来線特急の運賃が半額になる乗り継ぎ割引は適用されませんが、

特急しらゆき号で終点の新幹線接続駅の上越妙高駅まで行く場合に限り、

乗り継ぎ割引が適用となる特例が設けられています。

新潟から上越妙高までの指定席特急料金は乗り継ぎ割引適用で1570円です。

 

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特急しらゆき号は1日5往復の運転、乗車するのは新潟駅16:24発の8号です。

 

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新潟駅5番線に入線した特急しらゆき8号。

E653系4両編成で全車普通車のモノクラス編成です。

 

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E653系のシートピッチは91cm。

国鉄時代の特急車両普通車や京阪神や名古屋周辺の新快速と数値上は同じで、JRの特急車両としては広くありません。

 

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ただ実際に着席してみると、シート形状に工夫があるようで、それほど窮屈な感じはしません。

同じ車両で運転される新潟発着の特急いなほ号と違い、グリーン車という選択肢はありませんが、

終点の上越妙高まで乗っても2時間程度なら問題になることはなさそうです。

 

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16:24定刻に新潟駅を発車。

 

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新潟から2駅目、広いホームを持つ亀田駅を通過。

亀田駅の乗車人員はコロナ前には5000人を超えていました。

コロナの影響で大都市圏の鉄道の混雑率が大幅に低下するなか、新潟や広島など地方都市近郊路線の混雑が問題視されるようになっています。

 

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秋田からの羽越線と合流し、広い構内を持つ新津駅に進入。

 

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16:37新津着。新津は福島県の郡山駅へ向かう磐越西線との乗り換え駅でもあります。

 

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新津から先は沿線の建物も減り、列車は田園地帯を快走します。

日本海縦貫線の一部をなす信越本線ですが、この先、柏崎駅までは越後線のほうが日本海に近い所を通り、

その越後線と信越本線の間を上越新幹線が通っています。

 

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16:51加茂着。

対向ホームでは到着した新潟行の普通列車に多くの乗客が乗車する光景が見られました。

普通列車は6両編成、新潟近郊の鉄道需要の高さを実感する光景です。

 

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16:56東三条着。

三条市は金属加工業が盛んなことで知られる人口9万人の都市で、当駅が市の玄関の役割を果たしています。

 

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曲線で信越本線に合流し東三条駅に進入する弥彦線の電車。

弥彦線は東三条から上越新幹線との乗り換え駅「燕三条」、越後線との乗り換え駅「吉田」を経て、終点の弥彦に至る17.4kmの路線です。

 

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新津、加茂、東三条と10分程度の間隔で駅に停まりますが、駅間では最高時速120km/h に頻繁に達する快走が続きます。

 

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17:05見附着。

2面3線で中線を上下共用の待避線として使用する配線は、東海道本線、山陽本線、東北本線などJRの主要幹線によく見られますが、

ここでは中線があった部分の一部を埋めてエレベーターを設置したようです。

 

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見附の次の停車駅は長岡。

長岡が近づくと田園地帯の向こうから次第に上越新幹線の高架が近づいてきます。

 

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17:14長岡着。

在来線ホームの一部は上越新幹線駅舎の下に潜る形になっています。

長岡から先、上越新幹線は南に進路を変え、上越国境を超えて群馬県方面へ抜け、

在来線についても長岡の次の宮内駅から上越線が分岐し新幹線に近いルートで群馬県方面へ向かいます。

特急しらゆき号は長岡から先も直江津まで日本海に沿う信越本線を進みます。

時代を遡ると、上越新幹線が開通するまで、在来線の上越線が新潟と東京を結ぶメインルートでしたが、

昭和初期に上越線が開通するまでは、信越本線で長野へ迂回するルートがメインでした。

上越線については「国境の長いトンネルを抜けるとそこは」という小説「雪国」の一節が有名ですが、

雪国新潟と東京の鉄道ルートの変遷を知ると、トンネル掘削技術の進歩で、群馬から新潟へのワープが可能になったことに感心しているような、少し違った印象を持つようになるものです。

 

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17:40柏崎着。

ここまで新潟からちょうど100km、新津駅からでも84.8kmありますが、

日本海沿いを辿り当駅で合流する越後線経由では新潟から83.8km。

越後線を直角三角形の斜辺とすると、信越本線は新津を直角とする直角三角形の2辺を辿ってきたイメージです。

 

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柏崎から先の信越本線は、越後線にかわるように日本海沿いを進みます。

かつて日本海縦貫線ルートで大阪と札幌を結んだトワイライトエクスプレスのネーミングは、

この付近で日本海に沈む美しい夕陽を車窓から眺められることに由来したと言われています。

時刻はすでに18時になろうとしていますが、真夏の7月下旬では、日没はもう少し遅い時間になるようです。

 

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18:08直江津着。

特急しらゆき号はここから終点の上越妙高まで、第3セクターの「えちごトキめき鉄道」に乗り入れます。

「えちごトキめき鉄道」は、2015年の北陸新幹線開通で並行在来線としてJRから切り離された、 

直江津から長野県境「妙高高原」駅までの信越本線と、直江津から日本海沿いに進む北陸本線の富山県境に近い「市振」駅までを引き継いだ形です。

直江津には北陸新幹線は乗り入れませんが、並行在来線の切り離しにあたっては、10km離れた上越妙高駅が、新幹線直江津駅として扱われた格好です。

 

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直江津駅に停車中の旧国鉄急行形電車。

JR西日本七尾線での活躍を終え廃車となる運命でしたが、レア車両で集客を狙う、「えちごトキめき鉄道」に買い取られ、すでに市振方面への臨時急行列車として運転を開始。鉄道ファンの注目を集めています。

 

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特急しらゆき号と同時に直江津駅を発車し市振方面へ向かう普通列車。

「えちごトキめき鉄道」の市振方面の普通列車は、電化区間にも関わらすディーゼルカーで運転されています。

 

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直江津から先も旧JR信越本線を走行しますが、日本海を離れ進行方向が南に変わると車窓も一変します。

 

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直江津から6.7km、18:18高田着。

30年近く前の冬、大阪から急行きたぐに号で初めて直江津駅に降り立ち、乗り換えて長野へ向かった際、直江津と高田の積雪量の差に驚いた記憶があります。

冬の日本海側は寒く降雪が多いと言っても、その水面が見えるような街では、海水温によって気温の低下は緩和され、積雪も少ないということを実体験で学んだ格好です。

  

f:id:nishiuraexp:20210801222929j:plain高田から5分、18:23終点上越妙高駅に到着。

 

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「えちごトキめき鉄道」の改札を抜け右手方向に進むと、隣接するJR北陸新幹線の改札口が見えます。

 

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JR東日本のコーポレートカラーである緑字に白抜きのJR上越妙高駅入口の文字。

北陸新幹線は上越妙高駅を境に金沢方面がJR西日本、東京方面がJR東日本の路線として扱われていますが、

上越妙高駅の施設はJR東日本が管理しているように見えます。

 

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冒頭で述べたように、特急しらゆき号利用時に限り、上越妙高駅での新幹線と在来線の乗り継ぎに乗り継ぎ割引が適用されますが、

割引が適用されるからと言って、必ずしもスムーズな乗り継ぎができるわけではありません。

長野駅へ向かうために乗り継ぐ、東京行はくたか574号の発車は、特急しらゆき号到着から51分後の19:14。

北陸新幹線開通以前に遡ると、新潟と長野の間には国鉄時代から急行赤倉号が運転されていました。

急行赤倉号はJR化後、特急みのり号に格上げされましたが、長野方面への利用は奮わず、後に新潟県内のみの運転に変更された歴史があります。

今回も特急しらゆき号から下車し、北陸新幹線に乗り継いだ客の多くは、11分接続の金沢行はくたか571号に乗車したようです。

新潟と金沢の間には北陸新幹線開通前日まで特急北越号が走っており、長野乗り入れ時代の特急みのり号とは比較にならない需要がありました。

新幹線が開通して沿線と東京の間の所要時間は大幅に短縮されても、

周辺の地方都市間の移動は必ずしも便利にはならず、

場合によっては新たな乗り換えが生じるなど不便になることもあります。

 

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新幹線改札前には、コンビニNEWDAYSや土産物屋、ベンチが並ぶ待合スペースなどがあり、1時間程度の乗り継ぎ時間なら暇を持て余すようなことはありません。

 

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待ち時間を利用して駅前へ。

駅周辺は、駅前にレンタカー店とホテル、少し離れた場所にコンビニが見える程度で、新幹線の駅前としては長閑な雰囲気が漂います。

日本海に面する直江津から10kmしか離れておらず、標高が高いわけではありませんが、

真夏でも日が傾くと風は涼しく、このまま駅前のホテルで一泊したいと思わせる心地よさでした。

 

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発車時刻が近づき新幹線ホームへ。

JR西日本とJR東日本の境界駅ですが、通過列車も多く、乗務員交代などもないため、東北新幹線の途中駅などと変わらない雰囲気です。

 

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上越妙高駅に入線する北陸新幹線はくたか574号。

長野〜東京などJR東日本区間だけを走る便も多数ある北陸新幹線ですが、車両の塗装はJR西日本の車両をイメージさせます。

 

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自由席車内は上越妙高駅発車時点で、A席とE席がほぼ埋まる程度の乗り具合。

乗車率にすれば40%近くということになります。

北陸新幹線のJR西日本区間はコロナ前から空いているイメージでしたが、思いのほか健闘している印象です。

 

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JR西日本とJR東日本の車内誌が仲良くシートポケットにおさまっていました。

 

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長野県に入り飯山に停車。

 

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間もなく長野と車内放送が流れる頃。

日も暮れた市街地の空に月が昇ります。

 

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 19:37長野着。

 

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 長野駅善光寺口。

本日の行程はここまでです。

翌日はしなの鉄道、小海線、特急ふじかわ号などを乗り継ぎ、静岡方面へ向かいました。

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【グリーン車は日本一?】特急いなほ8号乗車記 (秋田10:35→新潟14:05)

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JR 東日本秋田駅。

今回はここから新潟行の特急いなほ号に乗車し終点の新潟へ向かいます。


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 秋田駅改札口。

 

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乗車するのは秋田駅10:35発の特急いなほ8号。

 

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6番線で発車を待つ特急いなほ8号。

E653系7両編成です。

前寄りの7号車6号車が普通車自由席。

つづく5~2号車が普通車指定席、最後部の1号車がグリーン車指定席となっています。

  

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普通車車内。

 

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E653系の普通車のシートピッチは91cmで国鉄時代の標準を踏襲しており、

JR化後に製造された特急車両としては狭い部類に入ります。

E653系は、元々上野から茨城県方面へ向かう常磐線の特急「フレッシュひたち号」としてデビューした車両です。

需要が大きい首都圏に乗り入れる特急車両は「座れない乗客を減らす」ことを視野に入れなければならないでしょうから、

数値をだけを見比べ「狭い、快適性に難あり」と断じるのは早計というものでしょう。

もっとも、地方都市を結ぶ「いなほ号」に活躍の場を移した時点で、

シートピッチを拡大する改造を施工するという選択肢もあったかも知れません。

実際に、国鉄末期からJR 初期にかけて、特急車両1両当たりの座席を1列減らし、

生まれたスペースでシートピッチを数センチずつ広げるという車両改造が頻繁に行われていました。 

しかし多くの場合、躯体や車体強度に絡む、窓の位置や大きさは変更されなかったため、

少なくない座席が「窓枠のために車窓を充分に楽しめない」という不都合を抱えることになってしまいました。

窓枠とシートピッチの話に文字数を割いているのには理由があります。

 

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こちらは最後部1号車のグリーン車です。

E653系が「フレッシュひたち号」として運転されていた当時は全車両普通車でしたが、

以前からグリーン車が連結されていた「いなほ号」に転用されるにあたり、

普通車からの改造で登場したグリーン車です。

最初から「いなほ号」向けに設計されたグリーン車で、定員を増やすことをそれほど重視する必要がなかったためか、

写真のように、車内にフリースペースが設けられるなど、全体にゆとりある空間に仕上がっています。

 

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グリーン車のシート。

シートについては、明るい色調の大きな座席が配置されています。

そして普通車では2列でシェアする窓を1列で独占していることがわかります。

シートピッチは普通車の2倍の182cm(91cm ×2)あり、

この点では全JRのグリーン車でも断トツのスペックとなっています。

 

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横方向についても、通路を挟んで2席×1席の配置であり、

1席あたりの専有面積はかなりのものです。 

 

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 今回はこのグリーン車の独立席を利用します。

断トツのスペックを有する「いなほ号」のグリーン車ですが、実際に着席すると、

前席との間に設置されたパーティションのために多少圧迫感があり、

前のシートまで182cmあっても、パーティションまでだとグリーン車標準の116cm+α程度に見えます。

 

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フルリクライニングさせた状態。

シートピッチが182cmあって、この程度のリクライニング角度で、後ろの席から「そんなに倒さないで」と苦情が来ることなどあるのでしょうか。

パーティションの存在価値に疑問を感じないでもありません。

 

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10:35。定刻に秋田駅を発車した列車は、秋田新幹線こまち号が通る奥羽本線と別れ、終点新潟の手前まで日本海縦貫線の一部を成す羽越線を南下します。

 

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羽後牛島駅通過後、秋田を代表する河川、雄物川にかかる鉄橋を渡ります。

 

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「いなほ号」グリーン車は2席並びの側が日本海を望む海側で、独立席は内陸側となりますが、

グリーン車内のフリースペースのおかげで、独立席を指定した場合でも、

日本海の車窓を好きなタイミングで楽しむことができます。

 

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内陸側の車窓。

もっとも、この季節、緑濃い内陸側の車窓を独立席から眺めるのも悪くありません。

 

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11:07。最初の停車駅「羽後本荘」に到着。

現在橋上駅舎への切替工事が続いています。

 

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羽後本荘駅前発車後、かなりの距離に渡り羽越線に並行する線路は、第3セクターの由利高原鉄道線のものです。

並行区間の沿線には市街地が広がりますが、駅はありません。

 

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11:27。象潟に停車。読みは「きさかた」です。

 

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小砂川駅付近の車窓に広がる日本海。

列車はこの付近で秋田県を抜け、山形県に入ります。

 

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内陸側に目を向けると、標高2236mの鳥海山を望む区間ですが、

本日は天気に恵まれず、広い裾野だけが見えている状態でした。

 

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11:59酒田着。

酒田は山形県庄内地方の要衝で、羽越線の運転上の拠点ともなっています。

 

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酒田駅の時刻表。

左が新潟方面、右が秋田方面です。

赤字で記された特急いなほ号の本数は新潟方面が7本、秋田方面が3本。

新潟発の特急いなほ号の半数以上が当駅で折り返していることがわかります。

 

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酒田発車後「いなほ号」はしばらく広大な田園地帯の中を快走します。

 

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山形新幹線の終点新庄へ向かう陸羽東線が分岐する余目駅に停車したのち、

12:19。鶴岡駅に到着。

 

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鶴岡市は酒田市と並ぶ庄内地方の拠点で、その人口12万は山形県内では山形市に次ぐ第2位となっています。

駅前にはホテルが複数見え、秋田から動きが少なかったグリーン車も新たな乗客を迎えての発車となりました。

 

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庄内地方の中心で乗客を拾った列車は、あつみ温泉駅とその次の停車駅である府屋駅の間で、新潟県に入ります。

山形新潟県境付近は、羽越線内でも特に日本海の車窓が美しい区間として知られます。

 

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12:51。新潟県最初の停車駅、府屋駅に到着。

 

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新潟県に入っても美しい日本海の車窓が続きます。

 

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その日本海から少し離れ、村上駅に接近すると車内の照明と空調が一時ストップ。

秋田から交流電化区間を走ってきたいなほ号は、この先直流電化区間に入ります。

交流、直流の電化方式が切り替わる地点には、電気的な絶縁のため、無電区間が設けられています。 

これはデッドセクションとよばれますが、デッドセクションを通過する電車は、交流、直流の両方に対応できることを求められます。

その点、E653系は、最初に投入された常磐線(取手駅〜藤代駅間)にデッドセクションがあるため、それに対応した交直両用車両となっており、

それは常磐線特急の車両置き換えに伴って、E653系が羽越線に転じた理由の一つと考えて差し支えないでしよう。

 

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13:18村上着。

羽越線酒田以南の普通列車は、

村上以南の直流区間だけを走る直流電車と、村上以北の交流区間に乗り入れる気動車に大別され、村上駅で乗り換えとなるケースが少なくありません。

 

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13:28坂町駅に停車。

坂町駅からは、山形県の米沢へ向かう米坂線が分岐します。

余目駅から分岐する陸羽東線とともに、日中は列車間隔が数時間空くこともあるローカル線です。

 

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13:43新発田着。

「いなほ号」が秋田から走ってきた羽越線は、この先、新潟を通らず、その先の新津へ抜けるため、

「いなほ号」はここから白新線へ進みます。

白新線は、新発田と新潟を結ぶ27.3kmの短い路線で、半分以上が単線ですが、

新潟の近郊輸送を担い、輸送密度はコロナ前の数値で約16000。

札幌近郊の札沼線や広島近郊の可部線と肩をならべる存在です。

 

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白新線の車窓。

田園地帯に立つ建物の数が次第に増え、

 

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阿賀野川にかかる鉄橋を渡ると、間もなく終点の新潟です。

 

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上越新幹線と並んで新潟駅に進入。

 新潟駅在来線ホームは近年高架化されました。

 

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14:05。秋田から273kmの道のりを3時間30分で走破し新潟駅に到着。

 

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「いなほ8号」が到着した新潟駅5番線は上越新幹線と平面で乗り換えができる構造になっています。

 

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ホーム上に設置された新幹線乗り換え改札。

接続の14:14発上越新幹線「とき324号」に乗り継ぐと終点東京に16:00に到着します。

このように、新潟駅において「いなほ号」から上越新幹線へスムーズな乗り換えができるよう配慮されている背景には、

「いなほ号」が通う羽越線沿線が、首都圏からの距離の割に時間がかかることが、問題視されている。という事情があります。

長期的には羽越新幹線の構想もありますが、

当面、上越新幹線にリレーする特急いなほ号が、首都圏と羽越線沿線の速達輸送の重責を担うことになりそうです。

筆者は、新潟から先、上越新幹線ではなく、上越妙高行の特急しらゆき号に乗り継ぎ、長野方面へ向かいました。

続きはこちらです。

 

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秋田新幹線こまち21号乗車記(仙台12:53→秋田15:04)

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五輪開会に伴う4連休初日。JR東日本仙台駅。

今回はここから秋田新幹線「こまち号」に乗車し終点の秋田へ向かいます。

 

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「こまち号」の大半は東京〜秋田間の運転です。

仙台から途中乗車すると、盛岡まで約40分東北新幹線(赤線)を下ったのち、

盛岡からは、大曲を経由して秋田まで(青線)約1時半の道のりです。

盛岡から秋田までの区間は便宜上、秋田新幹線と呼ばれることが多いものの、

盛岡〜大曲間は田沢湖線、大曲〜秋田間は奥羽本線の一部であり、

ともに狭軌の在来線を新幹線と同じ標準軌に改める工事を施工し、

東京からの新幹線車両の直通を実現させたものです。

 

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参考 左 標準軌レール間1435mm

   右 狭軌レール間1067mm

 

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「こまち号」は概ね1時間間隔の運転で、利用の多い時期・時間帯には臨時便が追加されます。

今回は東京発11:20の「こまち21号」秋田行に乗車します。「こまち21号」の仙台発車は12:53です。

 

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乗車券はJR東日本のインターネッ予約システム「えきねっと」から「お先にトクだ値」という企画切符を購入。

正規の運賃、料金から35%割引で秋田まで6720円でした。

今回は券売機で紙の切符を発券しましたが、紐づけのICカードでチケットレス乗車も可能です。

JR東日本のサイトではそちらの利用が推奨されています。

 

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仙台駅新幹線ホームに入線する「こまち21号」。

 

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仙台駅改札内の表示。

「こまち21号」の後ろには、盛岡までの東北新幹線区間で併結となる新青森行の「はやぶさ21号」が連結されています。

「こまち号」は7両、「はやぶさ号」は10両で、計17両は国内の旅客列車としては、東海道新幹線の16両を上回り最も長い、、と簡単に言いたいところですが、

在来線に直通する「こまち号」の車長は通常の新幹線車両より短く、概数で先頭車23m、中間車20.5mとなっており少々計算を要します。

東海道新幹線のN700系先頭車両27.3m×2両+25m✕14両=404.6mに対して、

はやぶさ、こまち併結の17両は、はやぶさ先頭車26.5m×2両+25m✕8両+こまち23m✕2両+20.5m✕5両=401.5mとわずかに及びません。

 

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「こまち号」普通車車内。秋田到着後撮影。

「こまち号」は全車指定席で、7両のうち東京寄りの1両がグリーン車、6両が指定席です。今回は指定席を利用します。

「こまち号」の車両は長さだけでなく幅も在来線仕様のため、

普通車も通路を挟んで2席✕2席のシート配置となつており、新幹線ではお馴染みの横3席のシートはありません。

 

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シート。

シートピッチは98cmと新幹線車両としては狭く、この点も在来線規格と言えそうですが、

背景には横3席シートの回転を考慮しなくても良いことがあるのでしょう。

またシート上の取っ手が目立ちますが、これも理由あってのことです。

 

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定刻に仙台を発車。

 

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国内最速の最高時速320kmに近づくころには、すでに車窓には田園地帯が広がっていました。

 

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仙台駅ホームの自販機で購入したお茶と車内販売品のワッフル。

盛岡まで併結の「はやぶさ号」とは、車内での行き来はできないため、この区間で車内販売が回ってくるのは、「こまち号」「はやぶさ号」のそれぞれに車内販売員が乗務していることを意味します。

在来線特急では、車両販売がほぼ全滅していることを考えれば新幹線は別格の扱いです。

 

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13:32盛岡着。

 

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ここで後方の「はやぶさ号」を切り離し、「こまち号」が先発します。

 

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盛岡駅での停車時間は先発の「こまち号」で3分、「はやぶさ号」は5分です。

東北新幹線では最近上野〜大宮間の最高時速が110km/hから130km/hに向上しましたが、時間短縮は1分程度。

東北新幹線が八戸や新青森までだった時代は、盛岡到着時点で終点までの時間距離が長い秋田行「こまち号」を前に連結しておき、先発させることは自然だったかもしれませんが、

今後、東北新幹線に続く北海道新幹線の札幌延伸が視野に入ってくると、

そちらへの到達時間短縮が優先され、編成を逆にして「はやぶさ号」の停車時間を少しでも短くしようという話がでてくるかもしれません。

 

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盛岡駅を発車すると、アプローチ線を経て在来線の田沢湖線に進入します。

アプローチ線は東京方面の上り「こまち号」と共用の単線1本のみです。

「こまち号」は先述のように概ね1時間ごとの運転ですので、単線であることは、それほど問題にならないと思われますが、

東京方面への列車は、東北新幹線の下り本線を横切って盛岡駅新幹線上りホームに到着することになります。

同じような構造のアプローチ線で山形新幹線列車が在来線から合流する福島駅では、

山形新幹線列車が遅れた際に、東北新幹線列車の進路を塞ぎ、ダイヤの乱れを広げることが問題視され、

上りホームにダイレクトにつながる、東京方面専用のアプローチ線を新たに建設することが決まっています。

福島の場合、盛岡より東北新幹線本線を走行する列車の本数が多い上、福島を通過する列車も少なくないことなどが、

当面1本のアプローチ線を使い続ける盛岡との対応を分けたのかも知れません。

 

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標準軌に改められたとはいえ、盛岡からの走行感覚は在来線特急そのものです。

最高時速は一気に190km下がって130kmとなり、その速度に達する区間も限られています。

 

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在来線の証ともいえる踏切をいくつも通過した列車は、盛岡の次の駅である大釜駅に停車し上りの「こまち号」と行き違います。

盛岡〜終点秋田までの区間の大半は単線です。

在来線直通の新幹線については、

東北新幹線のようなフル規格ではなく、在来線改軌による新幹線車両の直通とすることが決まった当時、フル規格新幹線を望む地元からは、

「ウナギを注文したらアナゴが出て来た」と揶揄する声が上がったという話を聞いたことがあります。

寿司屋ではないのでウナギとアナゴの価値の差がどれほどのものか実感がわきませんが、

実はもっと大きな差があるのではないか。という気がしないでもありません。

 

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盛岡近郊の田園地帯を抜けた列車は50km程度まで減速し深い山中を進みます。

岩手秋田県境を跨ぐこの区間は盛岡からの秋田新幹線在来線区間の中でも特に速達化の足かせとなっている区間ですが、

この区間をショートカットする新仙岩トンネル建設の構想があります。

仮に開通すると現在最速便で3時間37分かかっている東京〜秋田の所要時間が3時間20分台になることが見込まれているほか、災害対策としての効果も期待されているようです。

 

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山間部を抜け田沢湖駅に停車。

次は角館。仙台・盛岡と東北新幹線区間での下車が目立ち、盛岡発車時点で着席率は30パーセント程度。

車内販売員も盛岡で下車してしまったようです。

 

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今年夏で駅開業から100周年を迎えるという角館駅に停車。

第3セクター秋田内陸縦貫鉄道との乗り換え駅でもあります。

 

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角館からは広々とした田園地帯を軽快な速度で進みます。

 

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14:31。盛岡から約1時間で田沢湖線区間を走り抜け大曲駅に到着。

「こまち号」はここで進行方向を変え、奥羽本線下り線に入ります。

 

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14:33。大曲を発車。

先程走ってきた田沢湖線が右手に別れていきます。

大曲から秋田までは51.6km、時刻表上の所要時間は31分でこの区間の平均時速は約100km。

「こまち号」を在来線特急として見るなら、この区間に限ればかなり早い部類に入ります。

 

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大曲で進行方向が変わっても誰も座席を転換させないのには驚きました。

各シートに備わる大きな取っ手の出番はありませんでした。

大分と博多を結ぶ特急ソニック号でも途中の小倉駅で進行方向が変わりますが、

博多まで残り約40分の乗車でも乗客同士の無言の連携プレーで全ての座席の向きが変えられていたのを覚えています。

 

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奥羽本線区間では「こまち号」が走行する線路に並行して、もう1本線路があり複線区間のようですが、

並行する線路は在来線規格の狭軌で「こまち号」は通れません。

狭軌の線路は、大曲の先、横手方面と秋田を結ぶ奥羽本線ローカル列車が使用するもので、国内では珍しい単線並列区間となっています。

 

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「こまち号」の車両が休む車両基地の脇をかすめると間もなく終点の秋田に到着します。

 

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15:04。終点秋田駅新幹線ホームに到着。

 

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本日の行程はここ秋田までです。

駅前のホテルに一泊し、明日は新潟方面へ向かいます。

続きはこちらです。

 

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速い!観光特急しまかぜ乗車記(鳥羽16:11→四日市17:14)

 

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 本記事は上に添付の記事の続きです。


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三重県鳥羽市。近鉄鳥羽駅。

今回はここから近鉄の観光特急しまかぜ号に乗車し四日市へ向かいます。

#本記事掲載のダイヤ、運賃、料金等は乗車日6月26日時点ものです。7月にダイヤ改正が実施されています。


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近鉄鳥羽駅切符売り場。


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「しまかぜ」は大阪難波・京都・名古屋の各駅と、伊勢神宮最寄りの宇治山田や鳥羽を通り賢島とを結ぶ3系統が、それぞれ1日1往復(木曜運休)運転されています。

大阪難波行は大阪府内や阪神なんば線でつながる阪神地区と、

名古屋行は名古屋周辺や東海道新幹線乗り継ぎで、静岡県、首都圏と伊勢志摩方面の往き来をカバーしていることは容易に想像できますが、

岡山以西の山陽新幹線各駅から鉄道で伊勢志摩方面を目指す場合、

京都で新幹線としまかぜ号を含む近鉄特急を乗り継ぐルートが、

乗り換え負担や所要時間の面で最も合理的であるという事実はあまり知られていないように思います。

大都市圏への復路にあたる、しまかぜ号の鳥羽駅発車時刻は京都行15:20、名古屋行16:11、大阪難波行16:31となっていますが、

終点からの乗り継ぎでカバーするエリアが広い順の発車という印象もあります。


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しまかぜ号はJR 風にいえば全車グリーン車であり、通常の特急料金に上乗せで、しまかぜ特別料金が必要です。

運賃と特別料金込みの特急料金を合わせ、鳥羽駅から乗車の場合、名古屋まで3930円、難波まで4670円、京都まで5010円です。


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近鉄特急を利用する際、インターネット予約サービスを利用できますが、

予約時に支払うことができるのは特急料金や特別料金のみで、

普通乗車券は別途乗車前に購入するか、ICOCAやピタパなどを使うことになります。



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鳥羽駅に入線する16:11発名古屋行「しまかぜ」。行先を問わず6両編成での運転です。


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今回は名古屋寄り先頭1号車のプレミアムシートを予約しました。

両端1号車と6号車のプレミアムシートは床面が72cm嵩上げされたハイデッカー構造になっており、階段を登って客室へ進みます。


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客室入口から見たデッキ部分。

デッキ部分の天井はハイデッカーの客室と同じ高さになっていることもあり、

列車内としては異例の開放的な空間になっています。

また車両連結部に近い側には大型のロッカーがあり、大きな荷物を抱えて客室への階段を登る必要もありません。


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1号車プレミアムシート客室内。

横3列の明るい色調のシートと前面側面の大きな窓が観光特急らしい雰囲気を醸しています。


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シートピッチはJRグリーン車標準を上回る125cmで大型の背面テーブルが備わります。


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座席ポケットに備え付けの車内設備案内とカフェ車両のメニュー。 


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鳥羽駅発車後にアテンダントさんから配られたおしぼりと記念乗車証。

今回は乗車時間が短いため、早速席を立ち、車内見学を兼ねて4号車カフェ車両へ向かいます。


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両端1号車と6号車に隣接する2号車と5号車は、ハイデッガー構造ではないプレミアムシート。


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3号車はグループ車両と呼ばれ、写真のサロン室(定員4〜6名)のほか、


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和風、洋風個室(定員3〜4名)があります。

サロン室はプレミアムシートと同料金で利用できます。(定員利用時)

和風、洋風個室については別途個室料金が1室あたり1050円必要ですが、

1人あたりでは数百円の追加で済むことから人気があり、発売早々に埋まることも珍しくないようです。

(個室写真は車内パンフレットのものを拝借しました)


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4号車カフェ車両に到着。

カフェの入口にあたる鳥羽・賢島寄りには土産物などを扱うカウンターがあり、

「入店」しようとすると、上下どちらのフロアの席が良いか、好みを聞いてくれました。

カフェ部分は2階建になっています。


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下のフロア。6席。


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上のフロア。13席。

眺めが良い上のフロアのほうが人気があるようで、

筆者も、訪問時は無人だった下のフロアではなく、上のフロアの空席を案内してもらいました。


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今回は海の幸ピラフを注文。

カフェ車両を名乗っていますが、ラーメン、カレー、松坂牛の牛丼など食事メニューも多彩で「食堂車」と考えて差し支えありません。


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食後はスイーツセット。

ケーキはモンブランなど4種類から選択できます。

マドレーヌはカウンターで販売している商品の試供品ですが、

「真珠の小箱」という懐かしい?商品名に惹かれ、

食後にカウンターで8個入りの小箱を買って席に戻りました。

「真珠の小箱」は2004年まで日曜の朝に放送されていた近鉄提供の旅番組の名称です。

毎回、近鉄沿線の神社仏閣や祭事を紹介する中高年向けの渋い内容だったと記憶していますが、

オープニングで表示される「第千数百回」という放送回数のテロップが、

長寿番組であるということ以上に、沿線にその類のネタが尽きないことを誇っているかのようでした。


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「真珠の小箱」と並んで置かれていた伊勢志摩の定番土産「赤福」。


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カフェ車両で早めの夕食を楽しむうち、列車は宇治山田、伊勢市と停車、

席に戻るとすでに大阪線と名古屋線が分岐する伊勢中川駅にさしかかるところでした。

先頭車両の座席を予約すると、車両後方の座席でも、ある程度は前面展望を楽しむことができます。


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伊勢中川駅に隣接するデルタ線を速度を落として通過。

大阪方面へ向かう線路から右へ別れ名古屋方面へ進路を変えます。


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デルタ線を抜け名古屋線に入った列車は、田園地帯に延びる直線を120km/h で快走。

JR四国やJR九州が週末を中心に運転している観光特急では、定期特急にくらべ所要時間が延びる傾向にあり、平均時速を算出すると「特急とは名ばかり」という事例もありますが、「しまかぜ」に限らず近鉄の観光特急は違います。

例えば乗車中の名古屋行「しまかぜ」の場合、鳥羽~四日市間の所要時間は63分。

これは平日ダイヤ、土休日ダイヤ問わず同区間を走行する特急列車の中では最速で、

他の特急がすべて停車する津も通過してしまいます。


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ちなみに、今回はすぐ後ろの席がずっと空席のままで、プレミアムシートの機構を試すには好都合でしたが、

十分に楽しむ間もなく、列車は下車駅の四日市に近づいてしまい、

「JRの観光特急のようにゆっくり走ってくれた方が有り難い」と思ったのも事実です。


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四日市の市街地に入った「しまかぜ」の前面展望。

 
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17:14定刻に近鉄四日市に到着。


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 先行の特急とのセパレーションを広げるかのような長めの停車時間のあと、

17:17。鋭い加速で四日市駅を発車していきました。

終点の名古屋までは27分。名古屋で東海道新幹線に乗り換えると、概ね19:30頃には品川駅・東京駅に到着できます。


今回は蔓延防止措置の発出状況などを考慮し三重県内の区間乗車としましたが、1時間での下車は後ろ髪をひかれる思いでした。

感染状況が落ち着いたら、私鉄最長距離運転の記録ホルダーでもある、京都発の「しまかぜ」に改めて乗車したいと考えています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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特急南紀6号・快速みえ11号乗り継ぎ乗車記(紀伊勝浦12:23→14:47多気14:59→鳥羽15:26)


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JR西日本紀勢本線。紀伊勝浦駅。

今回はここから特急南紀6号名古屋行に乗車し、途中の多気駅で下車、鳥羽行の快速みえ号に乗り継いで、終点の鳥羽を目指します。

 特急南紀6号は紀伊勝浦駅が始発で12:23に発車します。


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11:56。名古屋8:05発の特急南紀1号として終点の紀伊勝浦駅に到着したキハ85系車両。

車内清掃や座席の転換が行われたのち、南紀6号となり名古屋へ折り返します。

時刻表掲載の編成表によれば、南紀6号は2両編成での運転となっていますが、乗車日は3両での運転でした。

キハ85系は1988年にデビューした特急型気動車です。

アメリカ、カミンズ社製の強力エンジンを搭載しており、最初に投入された高山本線の特急ひだ号では、名古屋~高山間の所要時間を従来の国鉄型気動車に比べ30分以上短縮しました。

特急南紀号への投入は1992年のことで、こちらでも名古屋~紀伊勝浦間の所要時間を42分短縮しています。

 

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車内整備が終わり乗車。

キハ85の車内は、座席部分が通路より一段高いハイデッガー構造になっています。

窓の寸法も拡大されたことから、広い視野で車窓を楽しめることが、

強力エンジンによる高速運転とならぶこの車両の特長で、

キハ85で運転される、ひだ号や南紀号は「ワイドビューひだ」「ワイドビュー南紀」とサブ愛称を付して呼ばれることも多いようです。


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座席は最近の特急車両のものに比べると分厚く柔らかい座り心地です。


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キハ85系は運転台の後ろに扉がないため、最前列の座席に座ると前面展望を楽しむことができます。

先頭の前面展望を楽しめる座席は、名古屋発の下りでは指定席、紀伊勝浦発の上りでは自由席となります。

 

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折角なので最前列の座席に陣取って前面展望を楽しむことに。

運転台のない右側のほうが眺めはよいのですが、先客がいたため左側です。


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12:23定刻に紀伊勝浦を発車。

JR東海の特急車両であるキハ85系で運転され、本社がある名古屋に発着する特急南紀号ですが、紀伊勝浦から次の新宮まではJR西日本区間を走ります。


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この地域では最も有名な観光地である那智の滝最寄りの那智駅を通過し、列車は太平洋の海岸線に出ました。


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紀伊勝浦から約20分でJR 西日本とJR 東海の境界にあたる新宮駅に入線。


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駅に隣接する留置線ではJR 西日本の特急くろしお号とJR 東海の気動車が並んで出番を待っています。


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始発駅発車から20分ですが、3分の停車時間の間に運転士さんもJR 西日本からJR東海に交代。

下車予定の多気駅までは2時間2分余りの行程です。

 

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新宮駅を発車した列車は熊野川の鉄橋を通過。



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新宮駅から先は、海岸線から少し離れるためか新宮以西に比べ直線が多く、

列車は80km/h程度とはいえ快調に走ります。


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13:05。熊野市に停車。


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南紀号が通る紀勢本線は国内の幹線としては歴史が浅い路線です。

中でも「熊野市」から次の停車駅「尾鷲」までの区間はすべて戦後に開通した区間となっており、

その途中の新鹿駅~三木里駅間が1959年に開通したことにより全線開通に至っています。

歴史が浅いというと聞こえがよくないかも知れませが、東海道新幹線開通を5年後に控えた時期の開通とあって、

線路は、海岸線が突出した部分では、その付け根を直線的なトンネルで貫き、

トンネルを抜けると入江に広がる集落の玄関となる駅を減速することなく通過するといった近代的な造りになっています。


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南紀号のこの区間の最高時速は85km/h と速くはありませんが、

熊野市~尾鷲間34.3kmを26分45秒で走行するダイヤになっており平均時速は76.9km/h。

駅発車到着時の加減速以外、ほぼトップスピードを維持し続けるダイヤが組まれています。


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前方に尾鷲の市街地が見えてきました。

紀伊山地に隣接する地形などの影響で、尾鷲市は年間降水量が全国トップクラスの都市として知られています。

今回の南紀号乗車区間のほとんどは曇りでしたが、

写真のように尾鷲周辺ではワイパーが活躍していました。


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13:31尾鷲発車。


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紀伊勝浦発車から1時間以上が経過し手洗いついでにデッキを覗いてみます。

 

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トイレは和式で、登場から30年近い車両であることを実感しましたが、

清潔な洗面所が独立して設けられており、


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自動販売機も設置されていました。

和式トイレや座席のハイデカー構造は昨今のバリアフリーには逆行する側面がありますが、

JR東海は85系の後継となるハイブリッド気動車HC85系を新造。

すでに試運転の段階にあり車内設備についても改善が図られるものと思われます。

 

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席に戻ると小さな峠を越えるところで、トンネルを抜けると前方には海が広がりました。


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13:53紀伊長島着。

隣のホームには、本来なら熊野市〜尾鷲の途中駅で行き違うはずの南紀3号が停車中です。

乗車日は徳和駅で事故が発生しダイヤが乱れていました。


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紀伊長島駅を発車した列車は、紀伊の国と伊勢の国を分ける荷坂峠にさしかかります。

海のイメージが強い紀勢本線ですが、南紀号が走る紀伊半島東側の区間では、

太平洋を望む区間は限られており、この山越えは南紀号の車窓のハイライトと言えそうです。


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全長1914mの荷坂トンネルを抜け、ほぼ峠のサミットに位置する梅ヶ谷駅をゆっくり通過。

梅ヶ谷駅の標高は193m、同3mの紀伊長島駅から1駅8,9kmで190m登ったことになります。

SL時代は言うに及ばずキハ85系登場まで活躍した国鉄型の特急気動車にとっても苦しい峠道であったはずです。

 

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梅ヶ谷駅からは下り勾配に転じ、

対向の普通列車を待たせて滝原駅を通過。


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14:21、三瀬谷駅に停車。


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次は下車駅の多気ですが、途中の栃原駅に運転停車し南紀5号と行き違い。


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右手から参宮線が合流し並んで多気駅に進入。


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14時52分。栃原駅で行き違った南紀5号の遅れの影響で5分程遅れて多気駅に到着。

ここで下車し参宮線に乗り入れる快速みえ号に乗り換えます。


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乗り換え時間で駅前に出て見ました。

紀勢本線と参宮線が合流する多気駅の所在地は三重県多気郡多気町多気。乗車人員は560人。


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駅前には商店街が延びていますが、行き交う人やクルマは少なく静かな佇まいです。


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多気駅から乗車する快速みえ号の発車は14:59ですが、こちらも事故の影響で約10分遅れ。


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15:10頃、多気駅に到着した快速みえ11号。キハ75系2両編成です。

快速みえ号は1990年に名古屋~鳥羽間の気動車快速列車としてデビュー。

1時間毎の運転で当初は国鉄から引き継いだ急行型気動車を使用していましたが、

1993年に現在のキハ75系が投入され一部区間では気動車快速列車としては異例の最高時速120km/h での運転を開始しました。

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快速みえ号車内。

京阪神や名古屋都市圏の新快速などと同じく転換クロスシートが並んでいます。


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鳥羽寄りの車両は中央の扉より前の席が指定席、後ろが自由席となっています。


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多気駅を発車した列車は、電車並みの加速で速度を上げ、紀伊勝浦からの特急南紀号では体験できなかった速度で快走します。


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伊勢市駅手前で併走する近鉄電車。

JR東海が発足早々から名古屋~鳥羽間に高速運転の快速列車をまとまった本数運転している背景には、

名古屋や首都圏から名古屋乗り継ぎで伊勢志摩方面へ向かう需要の多くを近鉄の特急が押さえている実情があり、それを切り崩す狙いがあったのでしょう。

名古屋~鳥羽間で近鉄特急(全席指定)と快速みえ号の指定席利用で比較すると、 所要時間では近鉄特急が1時間40分程度、快速みえ号は最速便こそ1時間43分ですが、概ね2時間程度を要しており近鉄特急がリードしています。

運賃は近鉄特急が特急料金込みで3090円なのに対して、

快速みえ号は運賃2500円、座席指定券530円で計3030円と若干快速みえ号に分がありますが、

運転本数や連結車両数に大きな差があり、トータルで見ると「快速みえ号は近鉄特急に一矢報いることには成功しているが、登場から30年が経過した今も一矢報いるに留まっている」というのが個人的な印象です。

 

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ライバル近鉄の駅と跨線橋で結ばれた伊勢市駅に進入。駅の規模ではJR が勝っています。


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伊勢市を発車して6分、二見浦駅に停車。

ダイヤ乱れの影響で対向列車到着まで10分以上停車していました。

JR参宮線は全線が単線です。


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二見浦駅から、しばらく海岸線近くを走り、


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終点の鳥羽駅に進入。

JR の鳥羽駅は終点駅でありながら無人のため、車内では鳥羽駅到着前に車掌さんが切符を回収していました。

 

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15:50頃、25分遅れで鳥羽駅に到着。


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無人の改札口を抜け駅前へ。


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JR鳥羽駅の施設は近鉄と一体ですが、

海側の近鉄駅出口付近には、到着する観光客を待つバスが並び観光地の玄関らしい雰囲気があるのに対して、

JR側は人通りも少なく他のローカル線の終点駅とあまり変わらない印象です。

鳥羽からは近鉄の観光特急「しまかぜ」に乗車し四日市へ向かいました。

続きはこちらです。

 

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【パンダくろしお】特急くろしお1号グリーン車乗車記(和歌山8:48→紀伊勝浦11:40)

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JR西日本和歌山駅。午前8時半。

今回はここから、JRの特急くろしお号と特急南紀号を乗り継いで紀伊半島を周り、三重県の多気駅から鳥羽までJR東海の快速みえ号で移動。鳥羽からは近鉄の観光特急「しまかぜ」に乗り継ぎ三重県の四日市へ向かいます。

 

f:id:nishiuraexp:20210624204916j:plain時刻表の地図で辿るとこのようになります。

 

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和歌山駅から乗車する特急「くろしお1号」は新大阪始発で和歌山駅の発車は8:48。

 

f:id:nishiuraexp:20210626090214j:plain特急くろしお号の乗車位置案内。

以前くろしお号のヘッドマークとして使われていた絵柄が使われています。

 

f:id:nishiuraexp:20210626090231j:plain和歌山駅4番線に進入する287系特急くろしお1号。

くろしお1号に使われる287系は、途中停車駅の白浜駅に近い「白浜アドベンチャーワールド」とのコラボレーションで「パンダくろしお」編成となっており、市販の時刻表にもその旨の記載があります。

 

 

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車体側面も。

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車内客室の出入り扉も。

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普通車の枕カバーもパンダづくしです。

 

f:id:nishiuraexp:20210626090320j:plain今回はグリーン車を利用します。

こちらはパンダは控えめのようです。

特急くろしお号のグリーン車は横3列の大きなシートを備え、車内はグリーン車に相応しい風格が感じられますが、

JR 西日本が発行するクレジットカードJWESTカード会員向けに発売される切符の割引率が他の特急列車より高いという事実は特筆に値します。

今回の紀伊勝浦までのグリーン特急券は3350円(内訳:特急料金1250円、グリーン料金2100円)で購入しました。

 

f:id:nishiuraexp:20210626090813j:plainそのような事情もあってか、和歌山発車時点でグリーン席は15席中10席程度が埋まっていました。

東海道新幹線の普通車でさえガラ空きも珍しくないコロナ下にあって異例のことではないでしょうか。

 

f:id:nishiuraexp:20210626090748j:plain和歌山駅を発車した列車はしばらく市街地をすすみます。

この付近では車窓左手の山の中腹に西国33霊場の一つ紀三井寺の仏搭が見えます。

 

f:id:nishiuraexp:20210626095455j:plain10分程走って、2面4線の高架駅という近代的な姿の海南駅に到着。

 

f:id:nishiuraexp:20210626095517j:plain海南を発車すると、しばらく列車は田園と里山の風景のなかを走ります。

 このあたりで特急くろしお号の来歴について少々書かせていただきます。

特急くろしお号は、昭和40年に紀伊半島を周る紀勢本線経由で、大阪・天王寺と名古屋を結ぶ長距離特急としてデビューしました。

当時の紀勢本線は非電化だったためディーゼル車両での運転でした。

 

f:id:nishiuraexp:20210625190041j:plain昭和44年の時刻表(くろしお1号は右端)

(天王寺9:10発、和歌山10:02発、紀伊勝浦13:19発、終点名古屋17:52着)

その後、昭和53年に和歌山~新宮間が電化されると、天王寺~新宮間の運転となり、車両は振子式の381系電車に置き換えられ所要時間の短縮が図られます。

今回乗車する287系は、その381系を置き換える目的で平成24年からくろしお号の運用に入ったものですが、

平成8年には制御振子を搭載し381系以上にカーブを高速で通過することができる283系も投入されています。

283系で運転される便は愛称も「オーシャンアロー」として区別されていましたが、現在は「くろしお」の一部として活躍を続けています。

 

f:id:nishiuraexp:20210626095551j:plain海南から約30分が経過、9:30御坊着。

JR御坊駅の片隅からは御坊市の中心部とを結ぶミニ私鉄「紀州鉄道」のディーゼルカーが発着しています。

 

f:id:nishiuraexp:20210626095612j:plain振子装置を搭載していない287系の場合、紀伊田辺以北の比較的線形の良い区間でも80km/h程度で走行する区間が長く、特急列車としては必ずしも速くはありません。

制御振子を搭載した283系や先代の381系に比べ、時刻表上の所要時間も、今回乗車する和歌山~紀伊勝浦の場合で10分程度余計に見積もられています。

特急列車の車両更新により所要時間が延びるという事例は他に思いつきません。

 

f:id:nishiuraexp:20210626095725j:plain和歌山周辺の市街地を抜けてから約1時間、海に近いところを走っているにも関わらず、田園や里山の風景が続いた特急くろしお号の車窓でしたが、

岩代駅(御坊~紀伊田辺)付近で、ようやく雄大な太平洋の風景が広がり、

車内では車窓案内の放送が入り、また景色を楽しめるよう徐行運転のサービスもありました。

 

f:id:nishiuraexp:20210626111640j:plain列車はみなべ町の市街地に接近。

くろしお1号は、みなべ町内の駅にはとまりませんが、一見して観光利用が主体とわかる客層への配慮か、

「みなべ町は南高梅や紀州備長炭で知られ・・」と、ここでも観光案内放送がありました。

 

f:id:nishiuraexp:20210626111705j:plain10:00。列車は田辺市内に入り和歌山以南では最大の拠点駅となる紀伊田辺駅に到着。

和歌山からつづいた紀勢本線の複線区間はここで終わり、

これより先は線形もより厳しいものになるため、381系で運転されていた当時から「くろしお号」の平均時速は紀伊田辺駅を境に大きく低下していました。

 

f:id:nishiuraexp:20210626111812j:plain紀伊田辺を発車して約10分。南紀観光の中心「白浜」に到着。

グリーン車では動きは少なかったものの、普通車からは大勢が下車したようです。

 

f:id:nishiuraexp:20210626111832j:plainくろしお号で到着する観光客を迎える白浜駅の改札口。

 

f:id:nishiuraexp:20210626111848j:plain白浜駅を発車してしばらく、列車は富田川にかかる鉄橋を渡ります。

上流に目をやると高架道路がみえますが、付近には紀勢自動車道の南紀白浜ICがあります。

紀勢自動車は現在、すさみ南ICまで延伸されており、

紀伊田辺以南での高速運転が難しい「くろしお号」の利用状況に影響を及ぼしています。

 

f:id:nishiuraexp:20210626111910j:plain10:33。周参見(すさみ) 着。

 

f:id:nishiuraexp:20210626112246j:plain 周参見駅ではホームに隣接して津波避難タワーが設けられていました。

 

f:id:nishiuraexp:20210626112613j:plainグリーン車・普通車問わず、特急くろしお号の座席ポケットには、津波が予想される場合の避難手順を記した注意書きが入っています。

 

f:id:nishiuraexp:20210626121903j:plainデッキには注意書きに記述のある車外脱出用の避難用はしごも準備されていますが、

発生が想定されている南海トラフ地震では、くろしお号が通る串本の津波到達予想時間が地震発生から4分とされていることを知れば、

海外の鉄道車両やバスのように、脱出のために近くの窓ガラスを叩き割るハンマーを窓横に設置したり、

航空機のように各座席下に救命胴衣を設置するほうが、現実的ではないか。という気もします。

 

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 参考 ドイツの高速列車ICEの車内。

写真に写っている範囲だけでも4箇所に赤いハンマーが設置され、ハンマー近くの窓には脱出口となることを示す緑のステッカーが見えています。

 

f:id:nishiuraexp:20210626112035j:plain見老津駅付近。

線路は半島の付け根をトンネルで横切ったりせず、急曲線で、入り組んだ海岸線を忠実にトレースするように伸びています。

 

f:id:nishiuraexp:20210626112111j:plain田並駅では対向の普通列車が行き違い待ち。

この付近の普通列車は長らく国鉄型105系の活躍が続いていましたが、写真の227系への置き換えが進んでいます。

 

f:id:nishiuraexp:20210626112139j:plain11:07。北緯33度28分。本州最南端の駅「串本」に到着。

和歌山から2時間20分。始発の新大阪からだと3時間30分程度かかった計算です。

 

f:id:nishiuraexp:20210626190447j:plain11:15古座に停車。

比較的小さな駅にも停車しますが乗車・下車はほとんどありません。

 

f:id:nishiuraexp:20210626190504j:plain岩場が目立つ車窓の海岸を見ていると、海面と列車が走っている線路の高低差は僅かのようです。

ひとたび大きな地震が起これば、この美しい海が地元住民や列車で旅する人の命を奪いにくるのかと思うと複雑な気持ちになるものです。

 

f:id:nishiuraexp:20210626190520j:plain単線一面の太地駅を発車すると次は下車駅の紀伊勝浦。

 

f:id:nishiuraexp:20210626190538j:plain11:40紀伊勝浦に到着。

列車は終点の新宮へ向け発車していきました。新宮までは18分の道のりです。

 

f:id:nishiuraexp:20210626190608j:plain紀伊勝浦駅舎。

紀伊勝浦からは約40分後の12:23に発車する特急南紀6号名古屋行に乗り継ぎました。
 続きはこちらです。

 

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