西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

【米子空港にも乗り入れ】妖怪づくしのJR西日本境線乗車記。

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米子駅から徒歩10分。昨夜到着したANAクラウンプラザホテル米子。

今日はJR境線と山陰地方唯一の私鉄「一畑電鉄」を乗り歩きます。

 

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改札口上の壁面に描かれた大山山麓の風景画が印象的なJR米子駅コンコース。

 

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米子駅を始発駅とする境線は、改札前の1番線を東へ進んだ先にある0番線からの発車です。

境線は、終点の境港が漫画家でゲゲゲの鬼太郎などの作品で知られる水木茂氏の出身地であることから、

境港の観光誘致と一体となり、駅・ホーム・車両など至る所が、作品で登場するキャラクターやモチーフとなっている妖怪の数々で埋め尽くされています。

 

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0番ホーム風景。

北海道から沖縄まで全国に伝わる妖怪が紹介されています。

 

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車両も妖怪ラッピングが施されています。

乗車した米子8:31発の境港寄り車両は「ねずみ男列車」。

 

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車内のシートもこのとおり。

全国のJRローカル線や私鉄・第3セクターが活性化策として漫画などのキャラクターの力を借りていますが、

ここまで徹底的にやっている例は他に思い浮かびません。

 

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米子を発車して最初の停車駅の博労町駅の駅名標。

各駅毎に妖怪のサブ駅名が付されています。

 

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米子から3駅目の後藤駅付近には中国地方で活躍する車両を中心に、車両の検査や改造、メーカーと提携した車両新造などを行うJR西日本の後藤総合車両所があります。

境線の列車は全てディーゼルカーで運転され、一般的には非電化路線という認識ですが、車両所には電車の出入りもあるため米子~後藤間は電化区間となっています。

 

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後藤付近から市街地を抜け郊外の田園地帯をしばらく進みますが、

 

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間もなく進行方向左手に広大な空港施設が見えます。

 

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そして空港ターミナルビルに最も接近した場所に米子空港駅があります。

米子空港の滑走路延長に伴う線路付け替えが行われた2008年に従来の大篠津駅を移転させる形で設置された駅です。(米子空港駅は復路で下車します。)

 

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境線は米子~境港間17.9kmに14の駅があります。

それに対して米子~境港間の所要時間は片道45分程度。2編成あれば1時間毎に運転するダイヤを切り回すことができる計算になります。

境線では2019年からICカード(ICOCAやSUICA)の使用ができるようになっていますが、上記のような事情から各駅に改札機を設置するのではなく、バスのように車内に車載式のICカード読取機を設置する方法を採用し、少ないコストで実質全駅のICカード対応を実現しています。

路線バスでは「当たり前」のICカード対応方法ですが、鉄道では「駅数が多く、比較的短距離の路線で走行する編成数が少ない」など境線と条件が似ている「水間鉄道」(大阪府)などが同じ方法を採用しています。

 

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キハ40系の車載読み取り機。

乗車時は青、降車時は黄色の読み取り機にタッチします。

バスと違い進行方向が逆になることもあるので、車両の前後両方に乗車・降車の読み取り機が設置されています。

 

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こちらはキハ47の読み取り機。

運転台の直後にドアがあるキハ40に比べ、自動両替機の設置などワンマン化対応時にも苦労のあとが見られたキハ47ですが、一旦運転席の後ろに迂回して黄色の読み取り機にタッチして下車する必要があるようです。

 

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9:15終点境港駅到着。

 

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境港駅の改札口。両端の米子駅と境港駅では駅の改札機にタッチすることになっています。

 

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境港駅前。

 

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境港駅の駅前からはいくつかのバス路線が発車していますが、

観光利用におすすめなのが鉄道では遠回りになる松江へ約40分で直行する路線です。

この路線に乗車すると一昔前に軽自動車のCMで有名になった「べた踏み坂」(江島大橋)を通るのですが、

江島大橋は橋の両側で勾配度が異なっており(松江側6.1%・境港側5.1%)、境港発松江行の場合は、勾配が急な松江側の「べた踏み坂」を下ることになります。

 

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松江側から見た「べた踏み坂」(2012年に松江発境港行バスに乗車した際に撮影したもの)

6.1%は道路勾配としては驚くほどの急勾配というわけではなくバスもスムーズに登坂していました。

 

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境港駅前に話を戻します。

休日には多数の観光客が押し寄せる水木茂ロード方面へつづく駅前通り。

 

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道路の看板を見ると、

隠岐方面へのフェリー乗り場は日本語と英語、

米子空港は日本語・英語・韓国語・中国語の4か国語表記となっているのに対し、水木茂ロードは韓国語と中国語のみ。

訪れる観光客の構成を暗に示しているかのようです。

もっとも「水木茂大道」という表記は日本語表記を兼ねているのかも知れませんが。

 

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今回は境港発9:25の折り返し列車に乗車し、

 

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米子空港駅で下車しました。

 

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単線一面のホームに設けられた小さな駅舎は、前面道路を跨ぎ空港敷地に至る歩道橋に接続しています。

 

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歩道橋は駅開業の翌年に設置されたもので、両側にエレベーターを備えています。

 

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歩道橋の空港側からは屋根付きの歩道がターミナルビルに向かって延びており、

列車下車からターミナルビル入りまで約5分程度でした。

 

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米子空港にはANAの羽田行のほか、エアソウルのソウル行、香港航空の香港行、吉祥航空の上海行が就航しています。

ただし訪問時は就航先の諸事情もあってかANAのカウンターだけが営業中でした。

 

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国内線の出発時刻表。表示の4便の前に7:20と9:00がすでに出発済みです。

2月に訪問した鳥取空港には1日4便から5便への増便を祝う広告が掲示されていましたが、県都の空港を上回る1日6便が就航していることになります。

鳥取市と米子市では鳥取市のほうが人口が多いものの、米子空港は松江市など島根県東部からの利用もあって、このような逆転現象が起きているのでしょう。

また距離が近い島根県の出雲空港との間ではJAL・ANAのすみわけがなされていますが、鳥取県という括りで見れば鳥取・米子ともANAのみ就航というのも興味深い事実です。

 

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鳥取空港にはなかったカードラウンジもありました。

 

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今回は空港見学だけなのでラウンジ近くにあったカレー屋で休憩。列車の時刻を見計らい駅に戻りました。

 

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米子空港駅の時刻表。

ANAの羽田からの到着時刻は8:15、10:50、13:55、16:35、19:50、21:30となっており、残念ながら米子方面のビジネス客、境港方面への観光客いずれにとっても、飛行機からの接続がよいとはいえないようです。

境線のダイヤは基本的に米子駅に発着する岡山からの特急やくも号との接続を意識して組まれているようで、接続の改善は容易ではなさそうです。

 

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運賃は米子まで240円、境港まで190円となっています。

今のJR運賃は地方都市圏の輸送実態に見合っていない(安すぎる)というのが筆者の個人的な見方です。

ちなみに島根県の県都松江まで770円となっていますが、これは松江駅から出雲空港へのリムジンバスの運賃を下回っています。

 

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10:41の米子行に乗車。

 

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羽田から到着したビジネスマンが米子へのアクセスのために乗車すると、この路線の「妖怪づくし」は異様に写るかもしれません。

境線における地域外からの利用者数という点では、おそらく水木茂氏やゲゲゲの鬼太郎・妖怪などに誘われてやってくる観光客が空港アクセス客を圧倒している状況と思われ、これは致し方のないことなのでしょう。

 

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11:11。米子空港から30分かかって米子駅に到着。

後藤までの電化区間を活かしてJR東日本の男鹿線・烏山線やJR九州の筑豊本線で導入されている蓄電池電車を走らせれば、高い加減速性能の効果で駅間の短い境線では大きな時間短縮が可能なのではないか。という気もしますが、

境線のような一定の需要のあるローカル線であっても路線の採算に注目すれば、JRとしては積極的な投資はためらわれるということなのでしょうか。

米子からは山陰本線て出雲市へ向かい、一畑電鉄に乗り継ぎました。

続きはこちらです。

 

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若桜駅「わかさカフェ」とライダーの聖地「隼」駅を訪問。若桜鉄道乗車記。

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大阪難波から、若桜までなら半額で乗車できる日本交通バスの若桜経由鳥取行に乗車。(乗車日現在の情報です。)

若桜バス停で下車し徒歩3分程で到着した第3セクター鉄道「若桜鉄道」の終点若桜駅。

 

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駅舎入口

 

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駅舎内では「わかさカフェ」が開店直前の準備中でした。

 

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「開店前ですが無料試飲はいかが」と声をかけていただきました。

カフェに隣接してソファやテーブル席が並ぶラウンジがあり、

無料でいただいたコーヒーを飲んでいると空港のラウンジで飛行機の搭乗を待っているような気分になりました。

 

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ラウンジの隣はライブラリーになっており子供向けを含め鉄道関係の本が小さな棚に並べてあります。

 

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なお駅前にはスーパーがあります。

JR・私鉄・三セク問わず利用者数が同程度のローカル線の行き止まり駅の駅前でこのような施設を見ることはあまりありません。

 

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改札口上の発車時刻表と運賃表。

若桜鉄道は1987年にJR( 国鉄)若桜線の廃止を受けて設立された第3セクター鉄道で、若桜とJR因美線接続の郡家を結ぶ19.2kmの路線です。

第3セクター鉄道への転換時に受けた交付金の枯渇が予想されたため今後の在り方が検討され、

2009年より公有民営の上下分離方式が採用されています。

現在のダイヤは1日10往復で若桜発の場合10本中7本がJRへ乗り入れ鳥取まで直通、

残り3本も郡家駅での接続により直通列車と変わらない40~50分程度で鳥取に到達できることがわかります。

また列車の本数は午後に比重があり、鳥取からの帰宅時間帯には概ね1時間1本の頻度で列車を利用できるようになっています。

 

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乗車する15:16発の鳥取行きは2両編成で後ろの車両(写真)は水戸岡デザインの八頭号。

前の車両にもラッピングが施されていました。

 

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八頭号の車内。

ボックス席の真ん中にはテーブルが設置され、

グループで乗車すれば車窓を愛でながら食べ物や飲み物を囲んで談笑ということもできそうです。

 

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前の車両の車内はオリジナルのままでしたが、2人掛けの転換クロスシートであり、掛け心地だけの比較ならこちらの方が快適そうです。

 

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さて若桜駅から向かうのは隼駅です。

 

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現状では全線1閉塞(途中行き違い不可)の若桜鉄道ですが、隼駅までの途中駅である八東駅に行き違い設備が設置されることを今回の訪問で初めて知りました。

調べてみると、これにより列車の運転本数を1日10往復から15往復に増発することが計画されているようです。

(北条鉄道の記事で法華口駅の行き違い設備復活について触れ、輸送密度3桁の第3セクター鉄道でのこのような事例は珍しいと書いていましたが誤りでした。記事は一部修正消去させていただきました。)

 

 

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若桜からつづくのどかな沿線風景。

 

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15:38。若桜から22分で隼駅に到着。

 

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隼駅の1日の利用者数は50人程度。

列車が出てしまうと次の列車到着まで静かな時間が流れます。

 

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ホームに設置されていた古い計り。

 

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駅舎内。

若桜駅に比べると昔のままの姿ですが、美しく保たれている印象を受けました。

手前の窓口が切符売り場、奥は手荷物の窓口となっており、

ホームにあった計りを使って荷物の送料を算出していたようです。

 

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美しい姿を保っているのは外見も同様で

隼駅舎は登録有形文化財にも指定されています。

 

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隼駅はスズキが製造する同名のバイク所有者の間で有名になりライダーの訪問が絶えないほか、

2009年からはライダーが集う「隼祭り」が毎年夏に開催されています。

 

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駅舎の窓口内は訪れるライダー向けの土産物売り場?になっていましたが、冬季は休業とのこと。

冬は寒い上、路面凍結や積雪などもあって、鉄道ファンのように「趣味は年中無休」とはいかない方も多いのでしょう。

なお窓の上部に「隼駅を守る会」の文字が見えますが、バイクファン有志ではなく、それを迎える地元の方が起こしたもののようです。

この小さな駅をベースに良い雰囲気が醸成されているのは素晴らしいことだと思いますが、

鉄道ファンとしては、せっかくなのでバイクファンの方にも若桜鉄道に乗ってほしいという思いもあります。

「鉄道で訪問してください」は見当違いだとしても、

「バイクを置いてローカル列車で鳥取まで食事に出かけませんか」くらいの呼び掛けがあってもよさそうな気がします。

誘う先は「わかさカフェ」でもよいかもしれません。

 

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中を覗くと冬季休業にも関わらずストーブが中央に鎮座しており、

この付近が冷涼な気候の土地であることを思い出させてくれました。

 

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駅舎の郡家方には旧JR(国鉄)の12系客車と北陸鉄道で使われていたという珍しい電気機関車が留置されていました。

12系客車はここを訪れるバイクファンのライダーハウスとして活用されているようです。

若桜鉄道の前進国鉄若桜線は昭和3年にここ隼駅まで開通し2年後に若桜へ延長されています。

わずかな期間とはいえ終着駅としての機能を果たしていたため駅周辺に広いスペースがあったことが有利に働いたようです。

 

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ホームにはこんな植樹もありました。

植樹から約11年で大きく育ったことがわかります。

 

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16:35。約1時間の隼駅滞在ののち後続の列車で鳥取へ向かいます。

「水戸岡デザイン車両」は3両あってブルーのものは昭和号と名付けられています。

 

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JR因美線と合流する郡家駅の手前900メートルの位置にある八頭高校前駅は、

郡家駅から高校まで歩く生徒に短区間でも鉄道を利用してもらいたいという観点で若桜鉄道発足後に新設された駅です。

そのような開業経緯もあって当時郡家~八頭高校前間の運賃は60円と格安に設定され話題になりました。

現在は100円になっています。

 

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郡家駅に到着。しばらく停車したのちJR 因美線に入り鳥取へ直通します。

 

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隼駅乗車後の車内改札で郡家までの乗車券を購入した際に受け取った乗車証明書。

郡家駅から先へ直通するJR線の鳥取駅などで下車する際に「JRの利用は郡家駅から」という証になります。

 

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17:09鳥取駅に到着。

 

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駅周辺で夕食をとり19:09発の「とっとりライナー」で宿泊予定の米子へ向かいました。

 

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夕方の時間帯、米子方面へ急ぐ列車は特急ばかりで、

追加料金不要の快速とっとりライナーは混雑すると思い早めにホームへ向かったものの、

鳥取発車時点で座席定員程度にとどまりました。

鳥取から各方面への路線の輸送量は、現在では米子方面より智頭方面の因美線の方が多いのかもしれません。

 

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とっとりライナーに使われる126系ディーゼルカーは、低コストを意識した車両でありながら、

落ち着いた内装で長時間の乗車にも耐える車内になっています。

 

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20:42米子駅到着。

鳥取から92.7kmを途中12駅に停車して93分で駆け抜けた計算になり、

停車時間も含めた平均時速はJR東海か運行する特急電車「伊那路号」や「ふじかわ号」を上回っています。

そのスピードもまた「とっとりライナー」の魅力です。

 

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国鉄時代から米子駅が重要な役割を果たしてきたことを誇示するかのような存在感のある米子駅舎は、

間もなく建て替えられることになっています。

 

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今夜の宿は米子駅から徒歩10分少々のANAクラウンプラザ米子です。

玄関に空港リムジンバスが乗り入れる米子を代表するホテルは、

青春18切符を使った旅行とはやや不釣合な印象もありますが、

今回は1泊素泊まり5198円と底値で予約することができました。

 

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翌日はJR境線と一畑電鉄に乗車しました。

つづきはこちらです。

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一般道走行90㎞・標高700mの峠越え、運賃は半額!日本交通の山陰特急バスで若桜へ向かう(難波高速BT12:00⇒若桜14:48)

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JR関西本線の起点JR難波駅の地上にある大阪シティエアターミナル。

関西空港開港の2年後に開業した大阪シティエアターミナル(通称OCAT)には、航空会社が出張カウンターを構え、搭乗前のチェックインと荷物預けをここで済ませ身軽になって関西空港へ向かうことを想定していたようです。

しかし知名度が低く利用が低迷したことから廃止され、現在では2階部分にある高速バスターミナルがこのビルの核施設として機能しています。

バスターミナルからは難波を拠点とする大手私鉄「近鉄」や「南海電鉄」系列の高速バス路線を中心に全国各地への路線が発着しています。

 

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近鉄高速バス路線図。

鉄道では在阪私鉄で唯一近畿地方外に路線を伸ばす近鉄ですが、

高速バスにおいても足の長い路線が目立ち、北は仙台・山形、西は長崎・熊本への夜行バスが運転されています。

 

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こちらは南海電鉄系列の南海バスの高速バス路線のパンフレットを集めたラック。

大阪と長岡、酒田、鶴岡など日本海側の地方都市を直結する路線が目を引きます。

 

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さて今回は写真の発車表示の3段目、12:00発の鳥取行で経由地の若桜へ向かいます。

この若桜経由の鳥取行きは1日2往復のみですが、標高700mの戸倉峠越えを含む長距離にわたる一般道走行が路線最大の特徴といえます。

経由地を問わず大阪難波と鳥取を結ぶ路線は鳥取拠点のバス会社日本交通バスの単独運行で、大阪・神戸と鳥取・米子などを結ぶ同社の高速バス路線の総称である「山陰特急バス」の一角をなしています。

 

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日本交通バスの高速路線に乗車する際は、予約はネットからできますが、購入は大阪・鳥取などバス路線の起終点にあたるエリアの指定場所(ターミナルなど)でしかできません。

そのため運行エリア外で予約した場合は予約番号を控えておき乗車前に窓口で購入手続きをする必要があります。

全路線が同じ取り扱いになるのかは確認していませんが、今回利用した大阪鳥取線では座席の指定も購入時となっていたため、

満席の予約が入っているときなどは、エリア外からの利用者は、どうしても「残っている席」をあてがわれることになってしまいそうです。

発車オーライネットのような購入までできる予約サイトが使えれば便利ですが、バス会社には一定の負担が生じ、その費用は最後には客が負担することになるわけで、

利用者の9割が大阪または鳥取周辺住民というような状況を把握したうえでの現行の予約・購入システムということなら、エリア外からの利用者が不平を言うべきではないような気もします。

 

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これから乗車する鳥取行の始発は弁天町の車庫となっており、そこから営業運転での到着です。大半の客はここ難波のバスターミナルからの乗車のようで、5分程前には到着し乗車が始まりました。

 

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車内は独立3列シートでトイレが車両中央部の階段下に設けられています。

昼間の3時間台で終点に到着する路線としては充実した車内設備といえそうです。

(写真は若桜到着時に撮影したものです。)

 

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今回は空いており10分前の購入でもある程度席の希望を聞いてもらえました。

前方が良く見える最前列の席に落ち着くとすぐに発車時刻になりました。

下車地の若桜到着予定は14:48で3時間弱の乗車時間となります。

ちなみに終点の鳥取到着は15:25となっています。

 

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バスターミナル最寄りの入り口から阪神高速環状線に入り池田線へ流出

 

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JR神戸線の鉄橋とならんで淀川を渡り、しばらくで伊丹空港の脇を通過。

 

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渋滞などなく順調な走行をつづけ、池田ICから中国道に入りました。

 

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中国道では宝塚インター(12:23)と西宮北インター(12:33)で一旦本線から離れ料金所付近にある停留所に乗車扱いのため停車します。

今回は宝塚インターでは1人の乗車がありましたが最終の乗車停留所となる西宮北インターでの乗車はなく、最終的な乗客数は10人程度となりました。

 

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中国道の兵庫県区間では大阪~津山を結ぶ中国高速線を運行する西日本JRバス・神姫バスと乗車中の日本交通の高速バス車両を頻繁に見かけます。

神戸・三田IC付近から合流してきた同社の車両と並走する場面もありました。

 

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大阪から1時間少々で姫路市北部に位置する安富PAに接近。

 

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所要時間的には若桜までで約半分、終点鳥取までだと6割以上を残していますが、ここで10分間の休憩となりました。

 

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中国道や鳥取道で見かけることは多くても乗車機会に恵まれなかった日本交通の山陰特急バスですが、

車体のカラーリングは大阪のビル街にも、内陸部の山並みにも、冬の日本海側の雪の白にも映えそうで好感が持てます。

 

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さて13:30頃に安富PAを出発して間もなくの山崎ICでバスは中国道から流出し一般道へ向かいます。

 

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山崎は兵庫県西部の内陸に開けた街で鉄道は乗り入れていませんが、姫路近郊のJR姫新線播磨新宮駅から北へ10kmほどの位置にあります。

姫路との結びつきが強い兵庫県「南部」のエリアで高速を降りたバスはここから姫路と鳥取を結ぶ一般国道29号で鳥取へ向かいます。

山崎市街地区間の国道29号線には戸倉峠47㎞・鳥取92㎞の標識が出ていました。

全国的に高速道路の整備が進捗した最近では一般道を90㎞以上走行する高速バス路線は非常に貴重で、ここからがこのバス路線の醍醐味を味わうことができる区間となります。

 

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山崎市街地を抜け鳥取方面へ北上。

 

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国道沿いを流れる川は素麺のブランド揖保乃糸で知られる揖保川です。

 

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一宮・波賀と内陸の小さな街をいくつか抜けるうち鳥取までの距離は61㎞になりました。目的地の若桜までは32kmとなっています。

国道29号は信号・交通量とも少なくバスは快走をつづけます。

 

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 揖保川沿いを北上してきたバスは兵庫県の北西端ともいえる場所にあるダム湖「音水湖」の湖岸を回るように進み、

 

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兵庫県と鳥取県を隔てる戸倉峠の山道に差し掛かります。

今年も記録的な暖冬だったはずですが、標高500mを超え沿道には白いものが目立つようになってきました。

 

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連続するカーブと勾配の先に見えた県境の「新戸倉トンネル」。

トンネル脇には標高731m、長さ1730mと表示があります。 

 

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前後の峠道とは対照的な直線がつづくトンネル内。

 

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トンネルを抜けた地点には「鳥取県」と「若桜町」の行政界を示す看板があります。

 

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国道29号の戸倉峠の線形は鳥取側のほうが厳しいようで、ヘアピンカーブの先につづく前方の路面が驚くほど下に見えていました。

乗車日は晴天でしたが、冬季は積雪・路面凍結なども珍しくないものと思われ、バスの運行には気苦労が絶えないのではないでしょうか。

 

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急な峠道を慎重に下り麓の山里の風景に出会うと

山崎ICから約1時間の一般道走行を経て中原バス停に停車。1人が下車しました。

本来の運賃は大阪(難波)から中原まで3200円、若桜まで3300円となっていますが、平成28年から同区間の運賃が約半額に値下げされています。

地元鳥取県若桜町のHPには「高速バスの魅力向上を図り利用促進や交流人口を拡大させることを目的に、平成28年度から若桜~大阪間の乗車券が片道1600円となりました」とあり、値下げ分は地元の公費負担とみるのが自然です。

若桜町民が大阪へ出かける場合だけでなく、若桜町を訪れる人も分け隔てなく恩恵を受けられるようになっており、

単に安い運賃で乗車できるだけでなく、ここまで書かせていただいたように、一般道でのダイナミックな峠越えの末鳥取の山里に至る、バス旅の醍醐味を味わえる路線ですので用途を問わず積極的にこの路線を活用したいものです。

(現在公表されている期間は令和2年3月末までとなっています。)  

 

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中原から約10分、バスは14:48ほぼ定刻に「道の駅若桜」前の若桜バス停に到着しました。

半額運賃の効果もあってか筆者を含めほぼ半数にあたる5人程がここで下車しました。

 

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道の駅若桜の駐車場にあった周辺観光案内。

鉄道ブログの筆者としては、この場所が若桜と郡家を結ぶ第3セクター鉄道「若桜鉄道」の終点若桜駅から徒歩3分程の距離にあることを強調しないわけにはいきません。

若桜鉄道は行き止まり路線ですが、その終点駅に大阪からダイレクトアクセスできるのも、鉄道ファンにとっては若桜経由鳥取行バスの魅力のひとつです。

 

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国道29号からみて道の駅の裏手にあたる道を200mほど進むと

 

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右手に上品な赤色の屋根を載せた若桜鉄道若桜駅の木造駅舎が建っていました。

このあと若桜鉄道に乗車し、鉄道ファンだけでなくバイクファンの間でも有名な隼駅を訪問しました。

つづきはこちらです。

 

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門司港レトロ観光と「お帰りに便利」臨時特急きらめき81号(門司港16:03→博多17:15)

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JR九州が発売する「小倉・門司港お買い物往復切符」を使って関門海峡周辺を巡る日帰り旅行をしています。

山口県下関市から関門トンネル人道で関門海峡をくぐり九州側に到着しました。

 

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トンネル出入口前の道を右手方向に7~8分程歩くと観光トロッコ列車「潮風号」の乗り場へ行くことができます。

トロッコ列車に乗ると門司港観光の拠点JR門司港駅付近まで行くことが出来るのですが、土日祝日のみの運行でしかも冬季は運休となっています。

西鉄バスの路線もあるようですが本数が少ないので今回は歩くことにしました。

「レトロ」が売りの門司港市街地までは徒歩でも20分程度で行くことができます。

 

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人道トンネル出入口から左手方向に歩くこと10分程でトロッコ列車の踏切に出ます。

 

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一旦踏切を渡って右折。

線路沿いを歩いてノーフォーク広場駅前で再び踏切をわたると、その先は海岸線に沿って伸びる遊歩道が市街地まで続いています。

 

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関門トンネル人道出入口やトロッコ列車ノーフォーク駅方向から歩いて門司港市街地に入ると、

最も手前にあたる場所に出光美術館があります。

トロッコ列車運転日には出光美術館前駅を利用することもできます。

 

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美術館に入館しても良かったのですが、今回は美術館近くの高層マンション「レトロハイマート」の31階にある「門司港レトロ展望室」を覗いてみることにしました。

 

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青い看板に従い建物に入ると受付とエレベーターがあります。

エレベーターは待ち時間なしで乗ることができました。

入室料300円は展望室に着いてから払います。

 

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高さ103メートの展望台からの眺め。

門司港駅方面。

 

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関門海峡と下関市街地方面。

 

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関門海峡大橋や関門トンネルの方向にはカフェが併設されており、

 

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シースルーのテーブルにコーヒーを置いて景色を眺めながら一服できるようになっています。

 

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展望室を後にして少し歩くと旧門司港税関庁舎があります。

 

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この庁舎は明治45年に焼失した初代庁舎にかわり供用を開始しましたが、

税関庁舎として使われた期間は意外と短く昭和2年には別の場所に建設された3代目にその役目を譲っています。

その後戦災などで建物の老朽化が進んでいましたが、

平成になって周辺の観光開発にあわせ当時の姿に復元されました。

 

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無料で内部を見学することもできます。

 

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門司港駅周辺の市街地では、

移築されてきたものも含め多数の明治~戦前にかけての「近代レトロ」建築を見ることができます。

 

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旧門司三井倶楽部。

三井物産の社交倶楽部として大正時代に建築された建物です。(大正10年築・後に現在地に移築)

 

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旧横浜正金銀行門司支店。昭和9年築。

現在は北九州銀行門司支店として使用されています。

 

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そして門司港レトロの要「門司港駅舎」。

現在の門司港駅は関門トンネル(鉄道トンネル)がなかった明治24年に門司駅として開業し名実ともに九州の玄関として機能してきました。

現存する駅舎も関門トンネル開通前の大正3年に完成したものです。

その後、昭和17年に関門トンネルが開通すると小倉までの途中駅であった大里駅がトンネルの出入口に近く、新たに九州の玄関としての機能を果たすようになりました。

門司の駅名もそちらに譲る格好で門司港に改名され現在に至っています。

しかし現在でも1日約5000人が利用するJR九州の主要駅として、毎日観光や通勤通学で賑わっており、

築100年を超える駅舎も大掛かりなリニューアルを経て美しい姿を保ちつつ現役で本来の用途に供されています。

 

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コンコース。

写真左手の木製の大きな扉の奥は、

 

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「みどりの窓口」になっていました。

 

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木製の窓口の前に自動改札機が並ぶ改札口付近。

 

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 改札を入ったところにある有名な0マイル標。

日本の鉄道開業から100年を記念して昭和47年に建てられたものです。

 

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歴史が感じられるホーム。

利用する列車は16:03発、博多直通の特急きらめき81号です。

日中に門司港駅を発車する列車は基本的に普通列車や快速列車ばかりで、

特急列車を利用できる切符をもっていても小倉までは普通・快速列車で行き、そこで特急列車に乗り換える必要があります。

門司港駅から博多へ直通する特急きらめき81号はその例外で、

運転される時間帯から考えても門司港観光帰りの客を視野に入れているものと思われます。

また今回利用している「小倉・門司港お買い物往復切符」との相性も良い列車です。

なお「きらめき81号」は土日祝日のみの運転です。(乗車日現在の情報です。)

 

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車両は787系。

 

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「小倉・門司港お買い物往復切符」で特急列車を利用する場合、原則として自由席利用となりますが、きらめき号は例外的に指定席を利用できる特典があります。

ただ81号に始発の門司港駅から乗車する場合、自由席でも空席多数で特典の恩恵を受けるまでもないようです。

 

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小倉駅に停車。

門司港駅発車時点では空いていた「きらめき81号」ですが、ここでまとまった乗車があり立客が出ました。

普通・快速列車でここまできて特急に乗り換える場合も、小倉始発ではなく大分からの特急ソニック号利用となる場合が多く着席できる保証はありません。

 

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17:15終点博多に到着。

 

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「小倉・門司港お買い物往復切符」のうち往復切符の利用は完了しましたが、お買い物はこれからです。

 

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切符に付属の1000円分の金券は時間帯もあって夕食に充てることにしました。

博多駅ビルに入居するJR九州系の商業施設「アミュプラザ」のフロア案内をしばらく見ていましたが店舗数が多過ぎて決められず、

 

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とりあえずエレベーターでレストランフロアへ「直行」。

 

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フロアを歩き回った結果、ここ「グリル大宮」のハンバーグに決定。

 

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サラダ・スープのあと、メインのハンバーグが。小さくみえますが球形にも近い厚みがあって肉の量は充分です。

 

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デザートのアイスクリーム。

内容は申し分ありませんでしたが、

金券の1000円プラスα程度の予算に対し、実際には概ね半額券として金券を利用することになりました。

 

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このあと日本旅行が発売する姫路発着博多往復の格安プラン「姫得スペシャル」の、

復路の指定列車である博多18:33発の「のぞみ62号」で帰路につきました。

つづきは近日中に投稿します。

 

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「門司港・小倉お買い物往復きっぷ」で博多から関門トンネル人道へ向かう。

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新幹線で到着した博多駅

 

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JR九州のネット会員になると九州外に住んでいても、九州内の新幹線や特急での往復が大幅割引になる「2枚きっぷ・4枚きっぷ」などをJR九州のサイトから簡単に購入することができます。

また博多駅など九州内の主要駅では券売機でネット予約した切符を受取ることができます。

 

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ネット会員に登録している筆者が今回事前に予約していたのは、博多~小倉・門司港を特急列車で往復できる「門司港・小倉お買い物往復きっぷ」です。

価格は小倉駅や博多駅の商業施設で利用できる1000円分の金券がセットになって3100円となっており、博多~小倉・門司港間の特急列車を片道あたり1050円で利用できる計算になります。

今回はこの切符を使って博多から小倉まで行き、小倉から下関まで普通乗車券を別購入。

下関駅からはバスで関門トンネル人道入口へ向かい、海底を歩いて九州にもどり「レトロ」で売る門司港周辺の街並みを散策したのち、門司港始発の特急列車で博多に戻ってくるという行程を予定しています。

 

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11:57発の特急ソニック21号は出てしまい、後続の特急ソニック23号大分行で出発します。

 以前は博多~小倉の間は特急列車は一時期1時間に3本運転されていましたが、現在では日中は1時間に2本に戻され、毎時19分のソニック号を逃すと40分近くの待ち時間が生じてしまいます。

福岡と北九州という2つの100万都市の玄関を結ぶ鉄道需要はもっと多いのですが、

特急ソニック号で40分~50分を要する両都市を最速15分で結ぶ山陽新幹線にかなり利用が流れているようです。

JR九州の特急を往復利用できる博多小倉間の「2枚切符」が2940円であるのに対し、

山陽新幹線を運行するJR西日本は土日祝日限定とはいえ新幹線で博多小倉を往復できる「新幹線よかよかきっぷ」を3150円で発売するなど価格面でも攻勢を強めており、

今回利用している「お買い物往復きっぷ」はJR九州が自社の「地盤(系列の商業施設など)」を活かした客のつなぎとめを意図して発売しているようにも見えます。

 

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特急ソニック23号が入線。

ソニック号は博多と大分を小倉経由で約2時間で結ぶJR九州最速の特急列車です。

 

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車内。(小倉駅到着後に撮影)

90年代から活躍をつづける車両ですが車内は何度かリニューアルされているようです。

新型コロナウイルスによる出控えもあってか、博多発車時で窓側が埋まる程度の着席率でした。

 

 

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博多発車から約30分。進行方向右手に見えた広大な更地は九州を代表するテーマパークとして親しまれた「スペースワールド」の跡地です。

撮影地点付近にはアクセスのために設けられた駅があり、そちらは更地になった今も「スペースワールド」駅を名乗って営業中です。

 

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13:06小倉駅に到着。列車は2分程の停車時間で進行方向を変え大分へ向けて発車していきました。

 

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小倉駅ホームで営業する有名なうどん店。

主力商品の「かしわうどん」の「かしわ」は鶏肉のことですが、こういう語句解説が不要なのは名古屋あたりまでで関東以北ではあまり使われない表現のようです。

 

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「お買い物きっぷ」で下関方面を目指す場合、小倉の次の門司駅までは有効区間となりますが、

小倉で乗り換えとなることもあり一旦改札を出て小倉~下関間の普通乗車券を買いなおして再入場することにしました。

小倉駅では北九州モノレールが駅舎内まで乗り入れています。

海外の大空港のターミナルで同じような風景を見た記憶がありますが、国内で同じような構造の駅は見たことがありません。

 

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駅舎外観とモノレールの軌道。

 

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ホームにもどり下関行の普通列車に乗車。

 

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古い車両ですが交流電化の九州と直流電化の本州を直結するため、両方の電化方式に対応できる設備を備えています。

 

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小倉の次の停車駅門司駅に停車。

ここで門司港方面と関門トンネル経由で下関方面へ向かう路線に分かれます。

 

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関門トンネルで本州へ。

 

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小倉から約15分で山口県最大の都市下関市の玄関下関駅に到着しました。

 

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JR九州とJR西日本の境界駅である下関駅の乗車人員は1日約10000人。

近年は1999年に通り魔殺人、2006年に放火と不穏な出来事がつづいてしまいましたが、歴史の一時期には航路との接続により現在の成田空港のような海外への玄関の役割を果たしていたこともあります。

 

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下関駅から関門トンネルの人道入口へは徒歩だと30分以上かかるようなので駅前からバスを利用することにしました。

駅舎を出ると1番~4番まで乗り場が見え「どのバスでも唐戸に行きます」の案内がありました。

人道入口の最寄バス停「御裳川(みもすそがわ)」は写真の路線図によれば唐戸の3つ先であることがわかります。

また唐戸から御裳川の区間で分岐する系統がないこともわかります。

これにより「1番~4番乗り場から発車するバスは全て唐戸へ行く」「唐戸へ行くバスは全て御裳川へ行く」

つまり「1番から4番から発車するバスは全て御裳川へ行く」という三段論法が成立したと信じ発車待ちをしていたバスに乗車したのですが、

 

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車内で前方を注視していると唐戸付近で左折して海岸線を離れてしまったので、次に停車したバス停で運転手さんに確認してみました。

筆者「このバスは御裳川へは行かないんですか」

運転手「ちょうふ方面は行きませんよ」

ちょうふ⇒調布?長府?いずれにしても御裳川へ行かないバスに乗り続けているわけにはいかず慌てて下車しました。

下関駅や唐戸から見て御裳川が長府方面かどうかなど遠来の訪問者が知る由もなく、

バス会社や運転手さんにそんなつもりはないことはわかっていますが、

「下関のバス。乗れるものなら乗ってみろ」と言われているような印象を受けました。

結局道半ばでバスを降ろされた格好になり、後半区間は徒歩で向かうことに。

 

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海岸線沿いの道まで戻り、しばらく歩くと左手に立派な神社が。

下関駅前のバス路線図で唐戸の次が「赤間神社前」となっていたことを思い出しました。

赤間神社は安徳天皇を祭神とする神社です。

壇ノ浦の源平合戦で平氏の敗北が濃厚になると、安徳天皇の母方祖母にあたる平時子は「波の下にも都がございます」と幼少の安徳天皇を諭し抱いて壇ノ浦の海に身を投げたと伝えられており、

安徳天皇は歴代天皇最年少の6歳でその生涯を終えています。

 

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赤間神社前の次は「壇の浦」

バス停周辺はマンションなどが並ぶ市街地でしたが、

 

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少し歩くと関門海峡とそれを跨ぐ関門海峡大橋が見え、一気に「歴史に名を刻む名所に来た」という感覚になります。

 

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海岸沿いの「みもすそ川公園」には源平最後の戦いを再現した一対の銅像があります。

 

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源義経像。壇ノ浦の戦いで船から船へ飛び移る様子を表現しています。

 

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こちらは碇を担いで応戦する平知盛。

一の谷(神戸市)、屋島(高松市)と敗走した平氏はここ壇ノ浦で戦いに敗れ終焉を迎えることになりました。

 

源平合戦のほかにも、幕末の1863年には長州藩がこの付近で関門海峡を航行するアメリカ・フランス・オランダの艦船を砲撃。

後に徹底的な反撃にあった長州藩は方針を転換して倒幕を主張する薩摩藩との協調に転じ、後の明治維新への大きな原動力となっています。

 

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源平合戦像の道向かいに、目的の関門トンネルの人道入口があります。

 

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人道入口にあった関門海峡周辺の地図。

上が西、下が東、ピンクが下関側、土色が門司側です。

ピンク上部の下関駅から現在地表示のある下端に到着。これから赤破線の人道トンネルを通り、土色上部に位置する門司港駅へ向かいます。

 

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通行は歩行者が無料、自転車は20円で、早朝深夜は通行不可となっています。

「これでは照明代も出ない」と一瞬思いましたが、

日本では鉄道維持の採算は問題になっても道路維持の採算はほとんど問題にならないようです。

 

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昭和33年の人道開通以来のものかと思うような古く無骨な雰囲気のエレベーターで地下へ降りると、

 

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見慣れた国道マークの奥に人道トンネルが延びています。

人道はその直上を通る関門トンネル(自動車道)の歩道という扱いになっているようです。

 

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トンネル入口にあった解説。

およそ3.4kmの車道(黄色)に対し、人道(オレンジ)は海底部分のみおよそ800mとなっています。

 

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人道トンネルの断面はV字になっており、下関・門司いずれから入っても前半が下り坂、後半が上り坂となります。

 

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そして中央の最も深い部分が山口県と福岡県の県境、つまり本州側と九州側の境界となっています。

 

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九州側の上り坂を登ること約5分、門司側出口に続くエレベーターホールに到着。

 

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下関にあったものと同じ古いエレベーターで地上へ。

入口から出口までの所要時間はおよそ15分でした。

 

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出口からは対岸のみもすそ川公園付近がよく見えていました。

最寄りのJR 駅である門司港駅方面へはバスのほか徒歩10分程度の場所からトロッコ列車もありますが休日のみの運転で冬季は運休となっています。

下関側と違い徒歩でも25分程度で行ける距離なので海岸の景色や港町として栄えた門司の古い街並みを見ながら散歩するのがおすすめです。

つづきはこちらです。

 

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【週末ジャカルタ鉄4】 スカルノハッタ空港「エアポートホテル」とNH872便(ジャカルタ7:15→羽田16:20)搭乗記

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ジャカルタ近郊電車のターミナル「マンガライ駅」から発車する空港鉄道に乗車すること約50分。スカルノハッタ国際空港に戻ってきました。

今日はここで一泊し翌朝7:15発のNH(ANA) 872便羽田行で帰国します。

空港鉄道の駅は空港施設を結ぶ無料のスカイトレインの駅と直結しています。

 

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スカイトレイン内の路線図。

JALやANAが発着するのは右端の第3ターミナルですが、空港ホテルは第2ターミナル内にあります。

空港鉄道駅から第2ターミナルまでは、第3ターミナル方面のスカイトレインで一駅3分の距離です。

 

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第2ターミナル駅で下車してターミナルの建物に入り左手方向に少し歩いたところにエアポートホテルの入口があります。

入口で待機する警備員と荷物検査機が目印になりますが、

検査は常に行われているわけではないようで警備員に素通りして中へ入るよう言われました。

 

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フロントでチェックイン。

素泊まりで1泊6000円程度と空港ホテルとしては良心的な価格で宿泊することができます。

 

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このホテルは全客室が軽く湾曲した通路に沿って並んでおり分かりやすい反面、端の部屋を指定されると延々と通路を歩くことになります。

 

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客室は値段や立地を考えれば非常に立派なものでした。

空港ホテル利用時にありがちな深夜到着早朝出発では設備や広さを持て余してしまいそうです。

 

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客室からは離発着の様子や駐機場で休む機体を一望できます。

全ての客室が一列に並ぶ構造なので、客室からの眺めに大きな当たり外れはないものと思われます。

 

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翌朝5時過ぎにホテルをチェックアウトしスカイトレインで第3ターミナルへ。

早朝便のためかANAのチェックインカウンターは出発2時間前をすぎても人影はまばらで不思議な感じがしましたが、

 

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出国・保安検査も待ち時間なしで通過でき、1時間前の空港到着でも充分間に合う状況でした。

インドネシアから日本へ向かう現地の人はこの状況をよく知っているのでしょう。

 

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搭乗までの1時間あまりを航空券の券面に記された指定ラウンジ「プラザプレミアムラウンジ」で過ごすことに。

 

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それほど広いラウンジではありませんがここもよく空いており、

そういう意味では非常に快適に過ごすことができるラウンジです。

 

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食事のバリエーションはそれほど多くありません。

 

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コーヒーを飲む程度と思っていましたが、インドネシア時間では6時でも日本時間では8時であり、

機内食が出ることはわかっていても「ここで朝食」となってしまいました。

 

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搭乗開始時刻が近づき搭乗口へ。

 

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機体。

往路で利用した羽田22:55発のNH 871便の折り返し運用です。

 

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エコノミーの搭乗率は8割程度。

往路同様日本人よりインドネシア人の方が多い印象です。

 

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羽田までの実飛行時間は6時間20分。

羽田到着予定は16:20です。

 

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水平飛行に入ってすぐに機内食タイム。往路の搭乗記でも書きましたが、ANAの東南アジア路線の機内食はJALより充実していると個人的には感じています。

復路でも違和感がないものが提供されるのは、現地積み込みではなく最初から往復分を積んでいるのでしょうか。

 

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食事を終えてもまだ赤道より南を飛行していました。

クアラルンプールが画面上端つまり北端に見えているあたりジャカルタの遠さを実感せずにはいられません。

 

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日本時間では9:15発、16:20着のダイヤとあっては、多少のアルコール程度では眠ることもできず、やや時間の長さを感じるフライトになりました。

 

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到着まで2時間を切って軽食が配られました。

離陸後の食事が日本時間の10時、この軽食が15時前後。

12時頃に食事が出れば、それ一回きりでも不満を言う客はいないと思うのですが、フライト時間の真ん中で機内食というのはCAさんの業務の都合などで難しいのでしょうか。

 

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予定より20分程早く羽田空港に着陸。

16時着でも17時着でも後のスケジュールへの影響は大差なさそうであり、客目線ではもう少しフライト時刻を後ろにずらしてほしい気もしますが、

往路の871便のジャカルタ到着が4:50とあっては、ANAとしては、むしろ折り返しの出発を早めたいくらいなのかもしれません。

 

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ジャカルタの鉄道に関心があっても、時間がなかったり治安や言語面の不安からなかなか現地に行けないという方もいらっしゃるかも知れませんが、

時間面では今回往路のNH871便での機中泊と現地1泊で、金曜日の夜に出発して日曜日の夕方に無理なく帰国することができました。

言語については片言英語がある程度通用し、治安面でも昼間に鉄道を乗り歩いている分には、駅前でタクシーの客引きに声をかけられる程度で特に不安を感じるような場面はありませんでした。

一方で、駅の券売機で高額紙幣が拒否され困っていると、後ろに並んでいた女性が財布を取り出して両替を申し出てくれたり、

食堂車で空いているテーブルを探していたら、すぐ近くに座っていた男性が早めに切り上げて譲ってくれたりと、

実質1日だけの滞在でも他の国以上に親切な人に出会うことが多かったように思います。

今回の旅費は、羽田発着計算の航空券+ホテルで8万円台でしたが、

LCCを活用すればその半額程度で行くこともできそうです。

本記事がジャカルタ鉄の端緒になれば幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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【週末ジャカルタ鉄3】高速鉄道の建設進むジャカルタ~バンドンを特急列車「アルゴ・パラヒャンガン号」で往復。

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インドネシア・ジャカルタ近郊のスカルノハッタ国際空港から空港鉄道と近郊電車を乗り継いで到着した長距離列車ターミナル「ガンビール駅」。

今回はここから特急列車「アルゴ・パラヒャンガン」号を利用して、標高700メートルの地方都市バンドンを往復します。

 

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今回の列車の乗車券はTraveloka というサイトで事前購入(クレジット決済)していました。

予約完了時のメールにはe ticket が添付されていますが、乗車前にe ticket のバーコードを写真の機械の読み取り機にかざして乗車券を発券する必要があります。

機械の上にチェックインカウンターとあるように飛行機搭乗前に搭乗券を発券する要領です。

 

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バーコードをかざすと機械の操作は一切なくすぐに乗車券が打ち出されました。

乗車するアルゴパラヒャンガン号はガンビール発8:55→バンドン着12:13のダイヤで、

編成は通常はエコノミー・エグゼクティブの2等級で構成されていますが、

乗車便にはエグゼクティブのさらに上級クラスとして「プライオリティ」という車両が連結されています。

 

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駅の時刻表によればバンドン行きのアルゴパラヒャンガン号は深夜発の夜行便も含め1日11往復運転されているようです。

ジャカルタ~バンドン間は大阪と名古屋と同程度の距離で、両都市を直結する高速鉄道の建設が進んでいます。

高速鉄道建設にあたっては当初は両都市を35分で結ぶ計画を提示した日本の技術導入が有利と見られていましたが、中国と競う形になり、最終的には経済的負担の面でインドネシアに有利な条件を提示した中国が競り勝った結果になっています。

ただ工事は予定より遅れているようで特急列車で3時間という状態が当面つづきそうです。

 

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パスポートと乗車券を見せてホームへ。

ガンビール駅は2面4線ですが、この駅の主役である長距離列車は側線を使い、真ん中の本線は近郊電車が使います。

ただしパスポートや身分証のチェックをうけて乗車する長距離列車の乗客と近郊電車の客を分離するため、近郊電車はすべてこの駅を通過します。

日本で例えれば「新大阪駅は新幹線客専用ですので在来線の電車はすべて通過します。

新大阪から新幹線を利用する方は隣の東淀川駅から徒歩で新大阪駅へお越しください。」と言っているようなものです。

 

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エコノミー・エグゼクティブ車両のシルバーに対し、機関車の次位に連結されたプライオリティ車両は阪急電鉄を思わせるマルーン色に塗られています。

号車表記も「前1号車」となっており、1号車から始まるエコノミー・エグゼクティブ車両と別格の扱いになっています。

 

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入口に立つアテンダントさんと挨拶をかわし車内へ。

木目の壁面に背面にモニターのついて座席が並び高級感が漂いますが個人的には横3列にしてほしかった気がします。

 

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座席の事前指定はできず、発券した乗車券に表示されていた座席は2列目の通路側でした。2列目より後ろのシートピッチはそれほど広くありません。

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一方、他の国の上級クラスの車両で経験したことがないサービスもありました。

1番前の座席の前には仕切りがありますが、仕切りの向こうはフリースペースになっていて、

 

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コーヒーやスナック菓子を自由に席に持ち帰ることができるようになっていました。

 

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8:55。頻繁に通過する近郊電車の合間を縫うようにガンビール駅を発車。近郊電車のターミナルマンがライ駅を通過してしばらくで「車内食」が配られました。

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無料ですが内容は「軽食」程度であり、本格的な食事を楽しみたい場合は編成後方に連結されている食堂車へ行ったほうが良いかもしれません。

 

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ジャカルタ都心部では沿線に日本のような近代的な建物が並んでいましたが、郊外へ進むにつれ発展途上国的らしい車窓が多くなります。

 

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列車は頻繁に踏切を通過しますが、踏切番が手動で開閉するものが多いようです。

安全を考慮して遮断時間が長くなりがちなのか、それほど広くない道の踏切でも驚くほど多くの車やバイクが列車の通過を待っている光景をよく見かけました。

 

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列車の速度は郊外の直線区間では時速約90km。

「滑るように」とは行きませんが不快感を感じるような大きな揺れはなく快適な列車の旅を楽しむことができました。

 

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沿線は住宅地から田園地帯にかわり、

 

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羽田からのフライトでの睡眠時間が3時間程度だったこともありウトウトしているうちに、列車は山間部にさしかかっていました。

写真のような急曲線と上り勾配がつづき列車の速度は40~50km程度まで落ちています。

 

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12:13定刻にバンドン駅に到着。前1号車のプライオリティ車両はホームからはみ出しており隣の車両から下車しました。

 

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バンドン駅の標高は約700mありますが、車外に出ると意外にもジャカルタとかわらない熱気につつまれました。

 

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ホーム中央の構内踏切で何本もの線路を跨ぎ改札へ向かいます。

日本のローカル線でも昭和末期までは同じような駅構造が見られたようです。

 

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バンドン駅舎。

 

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今回はインドネシアの特急列車に乗車することが目的なので、すぐに駅舎にもどり券売機で折り返し列車の乗車券を発券。

折り返しのアルゴ・パラヒャンガン号はバンドン13:50発⇒ガンビール17:16着のダイヤで、編成はエコノミーとエグゼクティブの2クラスのみとなっており、往路で利用したプライオリティ車両は連結されていません。

バンドン駅は古びた駅ですが駅舎内には多数の飲食店や土産物店があり1~2時間程度の時間潰しは難しくなさそうです。

中国が建設を進める高速鉄道の駅舎はこの駅舎を取り壊して建設するのか、中国国内の高速列車駅のように郊外に壮大な施設を建設することになるのか、いずれにしてもこの古い駅舎に長距離列車が発着する光景は間もなく見納めになるものと思われます。

 

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折り返し列車の発車時刻が近づき構内踏切を渡ってホームへ。

 

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アルゴ・パラヒャンガン号が入線。

重連のディーゼル機関車が客車を牽引する姿は今はなき日本の寝台特急「北斗星」号の北海道区間の姿を彷彿とさせるものです。

 

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復路はエグゼクティブ車両を利用しました。

 

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高級感では往路のプライオリティ車両に劣るものの、同じ横4列でシートピッチはむしろこちらのほうが広そうです。

リクライニング角度もかなり深く、航空機の短距離路線のビジネスクラスなみでした。

実質的なサービス内容についていえば、プライオリティ車両が連結される便でもエグゼクティブ車両で充分といえそうです。

 

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列車はブレーキを効かせ、ゆっくりと山を下ります。

 

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途中停車駅に隣接する空き地には廃車となった車両が野積みされていました。

現在では日本で使われていた車両がそのまま輸出されるようになっていますが、

かつては日本の車両メーカーがインドネシア向けの車両を製造し輸出していた時代もあり、野積みされている車両の中にはそのような車両も含まれています。

 

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座席のシートポケットにはこんなメニュー表がありました。

車内販売で買い求めることもできるようでしたが、

 

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せっかくなので隣に連結されている食堂車へ行って食事をすることにしました。

 

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2人掛けと4人掛けのシートが並ぶ食堂車は思ったよりクールなデザインで、もう少し華やいだ演出があってもよいのかな。という印象です。

 

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ナシゴレンのようなメニューを期待してカウンターで「ライスのメニューはないか」と尋ねるも、売り切れていたのか「ヌードルしかない」と言われ写真のチキン麺を食べることに。

 

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セットのお茶と合わせて日本円で300円程度でした。

スタッフの接客も大味であり、

現在の日本では「食堂車」というと晩年の寝台特急に連結されていたようなフランス料理を出すようなものを連想しがちですが、

国鉄時代に特急や急行列車に当たり前のように連結されていた食堂車の実態も、このようなものだったのかも知れないと思いながら食堂車をあとにしました。

 

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山間部をぬけると車窓に日本の通勤車両が見え、

 

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ジャカルタの都心部へ。

 

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17:15若干の早着で、ジャカルタ・ガンビール駅に到着しました。

 

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ガンビール駅降車口側コンコース。

乗車口側に比べると店舗数は少なく列車到着直後を除けば静かな雰囲気でした。

 

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ガンビール駅前にそびえるモニュメントは「モナス」と言われ、オランダからの独立を記念して建てられたものです。周囲は公園として整備されていました。

 

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近郊電車が到着する隣のジュアンダ駅まで歩き、元JR205系に乗車。

 

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約10分で空港鉄道が乗り入れるマンガライ駅に戻ってきました。

大都市圏に長く暮らす日本人なら、夕方のラッシュを迎えたこの駅の風景に郷愁を感じるのではないでしょうか。

 

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インドネシアは旅行日時点ではコロナウイルスの感染者は確認されていませんでしたが、満員の近郊電車に「乗りまわる」のは次の機会にすることにして、空港鉄道でスカルノハッタ空港へ戻りました。

このあとスカルノハッタ空港のエアポートホテルに宿泊し、翌朝のANA便で帰国しました。つづきはこちらです。

 

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