西浦特急 鉄道と旅のブログ

鉄道・飛行機などで国内外を旅行した様子のほか、鉄道を中心に交通全般の話題を取り上げます。

智頭急行と平福駅周辺散歩(姫新線・智頭急行訪問記3)

f:id:nishiuraexp:20190630101710j:plainJR姫新線と第3セクターの智頭急行線の乗り換え駅佐用に到着しました。佐用は岡山県境に近い兵庫県西部の町で智頭急行開業前から姫新線の主要駅の一つでした。

 

f:id:nishiuraexp:20190702143816j:plain線路と平行に延びる駅前通りは商店も多く、駅からすぐの場所に役場もありますが、土曜日の昼下がりとあって行き交う人や車は少なく静かな雰囲気でした。

 f:id:nishiuraexp:20190702143843j:plain駅前にあった佐用の観光案内。左上の大イチョウは佐用駅から徒歩圏内、その下の川沿いに町屋が並ぶ平福は、佐用から智頭急行で一駅の平福駅徒歩圏内です。

1時間後のスーパーはくと号で帰る予定ですが、智頭急行の普通列車で平福まで町屋の風景を見に行くことにしました。

 f:id:nishiuraexp:20190702144105j:plain智頭急行は兵庫県の上郡駅と鳥取県の智頭駅を結ぶ第3セクター鉄道です。

元々は国鉄が地元利用を想定して建設をすすめていましたが、開業させても採算の見通しが立たないとして工事は途中で凍結されてしまいました。

しかし国鉄時代に計画されていたものより高速走行に対応できる路線にすれば、その経路上京阪神や姫路と鳥取を結ぶバイパス路線になる得るとして、第3セクター鉄道として建設が再開され1994年12月に開業しました。

 f:id:nishiuraexp:20190702144009j:plain智頭急行の切符売場にあった運賃表。

智頭急行の運賃・料金で特筆すべきは智頭急行線内だけなら自由席特急料金が全線乗車しても420円と安い点です。

京阪神から新快速→姫路→(JR普通列車35分)→上郡→(智頭急行線の特急40分)→智頭→(JR普通列車50分)→鳥取と乗り継げば安上がりで、接続がよければそれほど時間もかからずに関西から鳥取へ行けそうです。

 f:id:nishiuraexp:20190702144144j:plain日中は京阪神や岡山と鳥取を結ぶ特急列車と普通列車がそれぞれ1時間に1本程度運転されています。

 f:id:nishiuraexp:20190702144400j:plain佐用駅は駅舎から階段を降りた地下通路にJR・智頭急行それぞれの切符売場がある特殊な造りになっています。

 f:id:nishiuraexp:20190702144501j:plain智頭急行線のホームに上がると、列車の進行方向を示す大きな表示があります。

オレンジ色の部分に姫路の文字がありますが、奥のJR姫新線のホームを見るとやはり進行方向を示す案内があり、姫路は反対方向になっています。

これが双方が進行方向に関する注意書きを出す理由のようです。

西武鉄道の所沢駅(埼玉県)で、新宿方面と池袋方面(ともに都心方向)の進行方向が反対という事例があったことを思い出しましたが、探せば他にもあるかもしれません。

 

f:id:nishiuraexp:20190702144615j:plain普通列車の智頭行に乗車します。

 f:id:nishiuraexp:20190702144645j:plain普通列車の利用者は少なく、国鉄時代の工事凍結は、その意味では正しかったことになります。(智頭急行のメインたる京阪神と鳥取を結ぶ特急列車には復路で乗車します。)

 

f:id:nishiuraexp:20190702144748j:plain発車すると駅前の観光案内にあった大イチョウが見えてきました。

智頭急行線の線路は大イチョウを巻くように左にカーブし鳥取方面へ進路をとります。

 

f:id:nishiuraexp:20190702144825j:plain幹の太さは想像以上でした。秋にもう一度訪れたいものです。

 

f:id:nishiuraexp:20190702144925j:plain高速運転に活路を見いだすことで開業することができた路線だけに、軌道のレベルは高く普通列車も100km/h近い速度で走行していました。

 

f:id:nishiuraexp:20190702145015j:plain約5分で平福駅に到着。

 

f:id:nishiuraexp:20190702145105j:plain平福駅舎。

大きな建物ですが、駅として使われているのは右端の一部だけです。

横断幕の「利神城跡」は駅裏手の山の頂上付近にあった山城の跡地です。

有名になった天空の城竹田城(跡)同様、駅から徒歩で登ることもできるようでした。

 

f:id:nishiuraexp:20190702145135j:plain駅前通りは近くを通る国道までつづき、国道との交差点には道の駅「ひらふく」があります。

鉄道で訪れた来訪者も、多数派の車での来訪者に混じり、飲食や土産物の購入などができる仕組みになっています。

 

f:id:nishiuraexp:20190702145237j:plain佐用駅前の観光案内にあった町屋の白壁が川に写り込む光景も駅からすぐの場所で見られます。

 

f:id:nishiuraexp:20190702145310j:plain町屋の道路側です。川側では町屋の白壁部分が目立ちますが、道路側は平福の街全体がこんな雰囲気でした。

 

f:id:nishiuraexp:20190702145346j:plain道の駅近くの交差点。

 

f:id:nishiuraexp:20190702145421j:plain道の駅「ひらふく」に到着。

 f:id:nishiuraexp:20190702145458j:plain道の駅「ひらふく」には展望台があります。

平福の街の全景と山裾にある平福駅、写真では小さいですが山の上には利神城跡も見えています。

ちなみに目の前の国道を写真右方向に進むと5分程の所に中国自動車道佐用インターがあります。

平福の良さは、このような山間の小さな街でありながら、車でのアクセスがよく、鉄道でも訪れることができる点にあると思います。

 

f:id:nishiuraexp:20190702145555j:plain到着から約40分後の上郡行の普通列車で佐用に戻りました。

 

f:id:nishiuraexp:20190702145638j:plain佐用駅に到着。隣のホームに停車中の車両はJR姫新線の津山方面の列車です。

このあと後続の特急スーパーはくと10号で帰路につきました。

今回のミニトリップの終点は出発点の姫路を通り越し明石です。

つづきはこちらです。

 

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そうめんの里「たつの」に立寄り。(姫新線・智頭急行訪問記2)

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姫路からJR姫新線で到着した本竜野駅。兵庫県たつの市の中心に近く姫路からは4駅約20分です。

 

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駅舎は近年、近代的な橋上駅舎に建て替えられました。

 

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1階には観光案内所があります。

今回、たつの観光の本命は本竜野から一駅進んだ東觜崎駅近くの観光施設「そうめんの里」内の食事処で「揖保乃糸」を食べることですが、30分間隔でやってくる列車1本分の時間で本竜野駅周辺を散歩することにしました。

 

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駅前の広い通りをしばらく歩くと「ヒガシマル醤油」の本社らしき建物がありました。揖保川沿いに開けた「たつの市」は、素麺のほか醤油の製造が盛んなことでも知られています。

 

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本社の向かいには工場の建物。

 

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駅前通りは、駅から徒歩5分程の交差点から先、古くからの街並みに続いていました。

 

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街中を流れる用水の横には醤油工場のパイプラインが。化学プラントの様相ですが、パイプ内は何が流れているのでしょうか。

 

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たつの市は「夕焼け小焼けの赤とんぼ」の歌詞で知られる童謡「赤とんぼ」などの作詞をしたことで知られる詩人「三木露風(本名操)」氏の出身地でもあり、駅前にはそれを記念する銅像がありました。

「山の畑の桑の実を小籠に摘んだはまぼろしか」最近ではゴミ収集車の接近メロディーに使われてたりしているようですが、一種のブラックユーモアだとしても、たつの市周辺でやったら苦情のネタになりそうです。

 

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今回は次の列車までの30分間だけでしたが、もう少し時間があると三木露風氏の生家や醤油資料館、歴史的な街並みまで駅から徒歩でアクセスできるようです。

 

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姫新線はたつの市内の移動にも利用できます。

 

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約3分の乗車で次の東觜崎駅に到着しました。駅横の古びた倉庫には揖保乃糸の看板があり、一瞬大量のそうめんをこの駅から出荷していたのかと思いましたが、米の倉庫にそうめんの看板を貼っただけでしょう。

 

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駅舎は昔ながらの木造です。

駅前は最近できたと思われる「揖保の糸」の直売所以外に店はなく、集落と田園が広がる静かな雰囲気でした。

 

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東觜崎駅から徒歩10分で到着した。観光施設「そうめんの里」。

 

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1階には創作そうめん料理の食事処「庵」があります。連休などの昼時は混雑するようですが、今回は空席がありすぐに入店できました。

 

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シーフードそうめん870円。酢の味付けでこれからの季節にはオススメのメニューです。屋外では夏限定の「流しそうめん」が行われており、施設内にはそうめん流しスタッフ募集という求人広告までありました。

 

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テーブルに置いてあった醤油は先ほど工場と本社を見てきた「ヒガシマル醤油」です。

同社の商品は近畿地方での販売が中心だったようですが、昨今の讃岐うどんブームにのって、同社で製造されたダシが関東でも売られるようになったようです。関東にも醤油の産地があったと思いますが、西の食べ物には西のダシが合うのかも知れません。

 

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手延べそうめんと言いますが、建物内では、そうめんが手作業で延ばされていく様子の実演があり、観光バスで到着した団体客と一緒にしばし見学させていただきました。

 

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2階はそうめん資料館になっていてこちらは有料でした。

 

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土産物の販売コーナー。

 

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東觜崎駅前には「そうめんの里」を含む周辺スポットへの簡易な地図がありました。

 

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今度は3本後、1時間30分後の便でさらに歩を進めます。

 

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東觜崎駅を出ると揖保川を渡り、

 

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播磨新宮駅に到着。姫路近郊区間はここで一段落し、この先は列車本数も大幅に少なくなります。またICカードの利用ができるのもここまでです。

 

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播磨新宮から先は里山と田園の車窓が続きます。

 

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1両でも空席が残る程度の乗車率でした。

 

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東觜崎から約35分で列車の終点佐用に到着。

姫新線は次の駅上月の先で岡山県に入り津山を経て新見まで続きます。

利用者数では姫路近郊が突出して多い姫新線ですが、路線延長では全線158kmのうち岡山県区間が100km以上を占めています。

 

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佐用は第3セクターの智頭急行線との乗り換え駅です。このあと接続の智頭急行線の普通列車でお隣「平福」駅まで足を延ばし駅周辺を散歩、佐用駅に戻ったのち特急スーパーはくと号で帰路につきました。

つづきはこちらです。

 

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《姫新線》利用者は目標の年間300万人を突破(姫新線・智頭急行訪問記1)

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今回のミニトリップは駅前にビルが整然と並ぶこの街からスタートです。

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北口につづき南口のバスターミナル周辺もリニューアルされ駅から歩きやすい構造になりました。

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さて今回乗車するのは路線図オレンジのKライン姫新線です。姫新線は姫路と岡山県北部の新見を結ぶ路線です。路線図に駅名がある上月までが兵庫県区間ですが、途中の播磨新宮までが姫路近郊区間でICカードの対応もそこまでです。

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ダイヤは姫路から2駅の余部までは1時間に2~3回程度、余部から播磨新宮までは1時間に概ね2回、その先は日中1時間に1回以下という水準です。

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まずは余部止まりの列車に乗車します。車両は2009年から運転を開始した新型ディーゼルカーです。姫新線高速化事業の施策の一つとして導入されたもので、今のところ姫新線専用で運用され、また姫新線の姫路~佐用間は全列車がこの形式(127系・122系)での運転となっています。

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乗車口付近には姫新線専用の証でもある「Kishin」のロゴがあしらわれています。

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車内は2列・1列の転換クロスシートが中心で、ローカル線車両としては快適な仕様になっています。

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姫新線は姫路駅を出るとすぐに高架を降り地平を走ります。高速化事業により姫新線の最高時速は100㎞になりましたが、ダイヤに余裕があるのか実際には80㎞を超える区間はほとんどないようです。

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10分程で早くも終点の余部駅に到着。2駅先の余部止まりの列車が多数設定されているのは余部の先に姫新線車両の車庫がありそこへの出入庫を兼ねているためです、反対のホームには対向の姫路行を待つ乗客の姿が多数見え、出入庫列車を営業運転する理由が伺い知れます。

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2分程で姫路行が到着。

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古い木造駅舎もあいまって列車が出てしまうと駅にはのんびりした空気が流れます。

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10分後に到着した、後続の播磨新宮行きで姫新線姫路近郊の拠点本竜野駅まで歩を進めます。

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余部駅を出ると車庫の脇をかすめます。車両だけでなく車庫も新しいため新規開業の3セク鉄道の基地のようにも見えます。122・127系の配置は19両のはずですが、写真に収まっている車両だけで10両程度あり、日中の運用は少ない車両数で賄われているようです。

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余部の次の太市駅を出るとトンネルがあります。
播磨地方のローカル線は姫路起点の播但線・姫新線、加古川起点の加古川線とも1997年まではすべて非電化でしが、1998年に播但線の姫路~寺前が電化、つづいて2004年に加古川線の全線が電化されました。
その後、姫新線は電化ではなく車両更新と軌道の改良よる高速化という道を選んだわけですが、その結果を左右したのがトンネルの存在ではないかと思うのは筆者だけでしょうか。
このように姫新線には姫路近郊にトンネルがありますが、播但線は電化された寺前以南にトンネルはなく、運転本数が1日片道10本未満の区間を含め全線が電化された加古川線にはトンネルがありません。
トンネルがある区間を電化しようとすると架線を張るためのトンネル断面の拡張などが必要で、工費が高くなりそれに見合う輸送量がなければペイしないのでしょう。(トンネルがない区間に比べペイラインが高くなるのでしょう。)

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余部から2駅10分程度で本竜野に到着しました。姫路から乗り通すと20分程度です。

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本竜野駅は姫新線姫路近郊区間の拠点の一つで、高速化事業に前後して新しい橋上駅舎に建て替えられました。
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駅舎内から眺めた「たつの」の街並み。
駅名は「竜野」と漢字表示になっていますが、自治体名は平仮名表記の「たつの市」です。人口は約75000人。
「播磨の小京都」と呼ばれる歴史ある街である一方、姫路への通勤通学が多いベッドタウンとしての顔もあわせ持っており、姫新線は非常に重要な役割を果たしています。

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橋上駅舎から駅前に出る階段にはこんな掲示がありました。
高速化事業前の姫新線は乗客の減少がつづいていましたが、高速化事業の実施にあわせ、たつの市をはじめとする沿線で年間利用者300万人を目指す熱心な乗車運動が展開された結果、利用者数はV字回復。
すでに目標を上回る実績を記録しているようです。
揖保川沿いに開けた「たつの市」は素麺のブランド「揖保乃糸」の産地であり、また醤油の製造が盛んな地でもあります。途中下車の旅はこちらです。
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福知山線ローカル区間から加古川線へ (播但線・加古川線訪問記3)

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和田山駅から特急きのさき16号で福知山に到着しました。福知山からは京都まで特急きのさき号で80分、大阪まで特急こうのとり号で90分程度です。

 

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福知山駅は平成21年に高架化が完了しています。

京都府北部に位置する福知山市の人口は約77000人。山陰本線沿線でこれを上回る都市は両端の京都と下関を除けば、亀岡、鳥取、米子、松江の4市だけではないでしょうか。

 

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高架化される前からの駅前であった北側にはバスターミナルがあり、大阪・神戸のほか東京への夜行高速バスも停車します。

ターミナルの左に見えているビルはJR西日本福知山支社です。今回のミニトリップで訪問した播但線は同社の管轄、一方これから乗車する加古川線は神戸支社の管轄になっています。

 

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かつでは駅裏だった南側は美しく整備されているだけではなく、ホテル・銀行なども立地し人の動きが感じられました。

 

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駅内にも複数の飲食店とコンビニがあり1時間程度なら問題なく時間を潰せそうです。

 

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今回は26分の乗り換えで福知山線の普通列車に乗り継ぎます。

福知山から発車する普通列車は以前は大阪まで直通するものが主体でしたが、大阪近郊の発展で福知山周辺との輸送量の差が顕著になったことから、現在では一部をのぞきの篠山口駅で系統が分割されています。

 

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篠山口行きの普通列車は2両が基本です。

 

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車内は新快速などと同じ転換クロスシートで、福知山発車時点では窓側が埋まる程度の着席率だったこともあり、特急列車に近い快適な環境で旅を楽しむことができました。

 

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福知山の街を抜けると由良川沿いを走ります。福知山を出てすぐの地点ではかなりの水量がある由良川ですが、

 

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福知山から4駅目の石生駅付近には瀬戸内海へ流れる加古川との分水嶺があるのは意外な感じがします。

なおこの加古川と由良川の分水嶺は標高が100mに届かず、本州の日本海側と太平洋または瀬戸内海側に流れる川を分ける分水嶺(中央分水界)としては最も低いことで知られています。

訪れたことはありませんが駅から徒歩10分ほどの分水地点周辺は公園として整備されているようです。

理屈の上では、南極の氷が溶けて水位の上昇がつづくと加古川と由良川が海峡となって本州が2分される(最初に本州が分断される地点になる)という話もありますが、低いと言っても100m近くあるわけで「仮定」が飛躍しすぎている感があります。

 

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福知山から33.5kmを約40分で走り、加古川線との乗り換え駅「谷川」に到着。

単線区間ですが、駅間が長く特急列車が1時間毎に走るだけあって線路の水準も高いようで普通列車としては高速運転でした。

 

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福知山線の中間駅では唯一のJR他路線への乗り換え駅ですが、非電化時代からの木造駅舎で駅前もいたって静かです。

 

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駅前広場に面してこんな看板がありました。

福知山線は特急停車駅で言えば篠山口駅と柏原駅の間でかなりの迂回をしてこの谷川駅を通るルートになっています。

福知山線に平行する国道176号線や舞鶴自動車道はこの間をトンネルで直線的に貫いており谷川駅周辺は通りません。

看板の文言からすれば、道路と同じルートで新しい複線軌道を建設する構想があるのでしょうか。

この付近の福知山線の需要を考えれば、複線化の実現は厳しそうですが、何もしなければ現行ルートはずっと維持されるのではないでしょうか。(個人的な印象です。)

 

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谷川駅改札付近。

 

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ここから乗車する加古川線は運賃表の緑のIラインです。

運転系統が分断される西脇市まで約17㎞ 320円、加古川までは約45㎞ 970円で、加古川線の路線長は播但線のおよそ2/3です。

分水嶺をまたぐ播但線はその両側の旧国名の頭文字を路線名にしたのに対し、分水嶺の南だけを走る加古川線は沿線を流れる川の名前が路線名になっています。

最近は気安い愛称路線名が乱発される傾向にあるようですが、国鉄時代の路線名決定はかなり熟考されていた印象を受けます。

 

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加古川線の西脇市以北は中国地方内陸部のローカル線に匹敵する閑散区間で、列車は1日8~9本しかありません。

 

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中国地方の閑散区間と違うのは電化されていることです。

車両はここと小浜線でしか見られない1両運転が前提の125系電車です。西脇市より北の区間はすべてこの車両で運転されます。

 

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車内は2列・1列の座席配置で座席数より立席スペースを重視したた詰込み設計ですが、加古川線の西脇市以北ではその少ない座席が埋まることも稀なようです。

 

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この車両は現在2ドア車両として運転されていますが、中間部分に3枚目のドアを設置する準備がされており、その部分の座席は航空機の非常口座席のような格好になっています。実際に座るとピッチが広すぎて落ち着かない感じでした。

 

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谷川から西脇市までは途中7駅、約30分です。

東経135度線と北緯35度線が交わる付近には、国鉄末期に開業した日本へそ公園駅があります。

 

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駅前には地元西脇市出身の横尾忠則氏の作品を展示した岡之山美術館があります。

 

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播磨地方を起点とする地方交通線(播但線・加古川線・姫新線)で保線負担軽減のための徐行区間が設けられているのは姫新線の中国勝山~新見間と加古川線の西脇市~谷川間のみで、特急列車が走る播但線は対象外になっているようです。

 

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15時42分西脇市駅に到着。

 

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一つの路線でありながら系統が分断される駅という点では播但線の寺前駅に似ており、写真左の時刻表が示すように列車本数がここを境に増加し、ここから加古川方面ではICカードも使用できます。

 

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西脇市以南のほとんどの列車は播但線と同じ103系2両での運転ですが、3分接続の加古川行は谷川から乗車してきた列車と同じ125系の1両でした。

 

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西脇市駅発車時点ですでに満席でした。かろうじて車端のロングシートに着席できたものの神戸電鉄・北条鉄道との接続駅粟生駅を発車するころには車内は満員状態に。

座席を減らして立席スペースを広くとった125系の特性が活かされているといえなくもありませんが、滝野や社町あたりから終点加古川まで40分程度立ち通しだった乗客も多く、やはり西脇市以南は2両運転が適当なのではないかと思いました。

 

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厄神駅手前で加古川を渡り川の西から東へ移ります。

加古川線の利用はその先の厄神駅・神野駅から加古川駅方面への加古川市内利用がかなりの割合を占めています。

以前は姫路市を抜けると終点の和田山まで郡部ばかりだった播但線に対して、加古川線は小野市・加東市など内陸部にも市を成立させる規模の人口集積がありますが、加古川線の線路がその区間では川の西側を通るのに対し市街地は川の東側ばかりで、加古川線は内陸部ではその機能を十分に発揮できていない状況です。

 

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神野駅周辺は高度成長期に新興住宅地として開発されたエリアです。

国鉄時代にはこの付近から発生する通勤需要への対応として、首都圏外縁部の久留里線と加古川線限定配置のロングシートの新型気動車キハ37が導入されたりしましたが、現在は住民の高齢化など近くを走る神戸電鉄粟生線と同じような理由で加古川線の利用は減少傾向にあるようです。

 

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西脇市から46分で終点加古川に到着。写真左の時刻表が示すように加古川~厄神の加古川市内区間については、播但線姫路周辺なみの運転本数(1時間に2~3回程度)が確保されています。

 

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11分後に発車する西脇市行は103系2両編成。加古川~西脇市の運用はほとんどがこの車両で賄われています。

 

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姫路駅における播但線・姫新線と同じく神戸線とは別の加古川線専用改札が設けられています。駅の出口ではないので切符の取り忘れには要注意です。

 

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神戸線と共通の加古川駅の改札口、この改札機で切符は回収され改札外へ出ます。

 

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加古川駅は加古川線の電化と同時の2004年に高架化を完了しました。

 

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加古川市の人口は約26万人。加古川駅の利用者は1日約24000人です。

新快速で姫路まで10分、三ノ宮まで30分、大阪まで50分の距離にあり、駅前の賑わいも今回のミニトリップで乗り換えに利用してきた内陸の街とは別格のものです。

写真の駅前百貨店「ヤマトヤシキ」は姫路の老舗百貨店で、加古川駅前にあった「そごう」閉店を受け加古川に進出したものですが、本拠地姫路にあった古くからの店舗は駅ビルや駅前広場周辺の活況の影で最近閉店してしまいました。

姫路駅周辺では駅高架化により地下改札口が廃止されたことで、地下街の利用者も減っている印象で、駅周辺の商業は明暗が分かれる傾向にあるようです。

出発地姫路の隣街「加古川」に戻ってきたところで今回のミニトリップは終了です。最後までお読みいただきありがとうございました。

 

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播但線非電化区間と特急きのさき号乗車(播但線・加古川線訪問記2)

f:id:nishiuraexp:20190623183400j:plain姫路から播但線の普通電車で45分。寺前駅に到着しました。

姫路からの電化区間はここで終わり、当駅から終点和田山までは非電化区間になります。

和田山行の発車まで10分以上あったので駅前に出て見ました。

 

f:id:nishiuraexp:20190623183433j:plain寺前駅の所在地は兵庫県神崎郡神河町。

神崎郡は市川町、福崎町、神河町の3町から成り人口は約42000人です。

神河町はその一番北に位置し、播磨と但馬の旧国境に接しています。 

駅に隣接して神河町の観光案内所と特産品売場がありました。

 

f:id:nishiuraexp:20190623183500j:plain寺前駅の利用者数は1日400人程度。駅前は通る車も少なく静かでした。

 

f:id:nishiuraexp:20190623183533j:plainICカードの利用ができるのもここまでのため、和田山までの切符を券売機で購入してホームに戻ります。

 

f:id:nishiuraexp:20190623183636j:plain寺前から和田山方面の運転本数は特急はまかぜ号を含めて1時間に1本程度。姫路方面の半分程度ですが、閑散区間扱いするには本数が確保されている印象です。

 

f:id:nishiuraexp:20190623183608j:plain和田山方面から折り返しのディーゼル列車が入線。

 

f:id:nishiuraexp:20190624202304j:plain4人掛けのクロスシートがならぶ車内。

寺前以南が電化されるまではこの雰囲気で姫路まで乗り入れていました。旅行者の視点からはこちらのほうが快適なのですが。

 

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f:id:nishiuraexp:20190624202419j:plain車窓は次第に山深くなり、列車は播磨と但馬を分ける生野峠に差し掛かります。播但線のハイライト区間です。

 

f:id:nishiuraexp:20190624202443j:plain峠のサミットを過ぎて少し下ったところで生野駅に到着します。

現在は特急も停車するようになりましたが、駅は姫路方面へ向かう通過列車がポイント通過のために減速を強いられ峠の登坂に支障することがないよう配線が工夫されています。

生野峠は、SL時代には姫路方面へ向かっていた回送列車の機関士が、峠の上り区間で煙に巻かれて失神し、無人同然になった機関車が寺前方面への下り坂を暴走ののち脱線転覆という悲劇もあった鉄道の難所の一つです。

 

f:id:nishiuraexp:20190624202519j:plain和田山行の列車は、生野から快調に坂道を下ります。平行する道路は播但線連絡道路(有料)です。生野峠区間は道路の敷設にも苦労があったのか、生野峠より北の区間の開通は姫路周辺の開通から20年以上後になりました。

 

f:id:nishiuraexp:20190624202556j:plain新井駅では「天空の城竹田城号」で運転の列車と行き違い。

一般の列車として運転され普通乗車券や青春18などでも利用できます。

 

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車内は新快速のような転換クロスシートと窓に向いた展望座席の設置など観光客向けに改造されています。(以前に乗車した際の写真です。)

 

f:id:nishiuraexp:20190624202621j:plain生野峠で分水嶺を超え車窓を流れる川は日本海に注ぐ円山川です。

 

f:id:nishiuraexp:20190624202643j:plain終点和田山の一つ手前竹田駅に到着。姫路から約1時間半です。一部の特急はまかぜ号も停車し、そちらは姫路から約1時間、大阪からだと2時間程度です。

 

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天空の城「竹田城(跡)」の石垣は車窓からも見え、駅から徒歩で登ることもできますが、かなりの体力を要します。(写真は以前に訪問した際のものです。)

 

f:id:nishiuraexp:20190624202716j:plain山陰本線の線路が見えると播但線の終点和田山に到着です。

播但線は約65キロとそれほど長くない路線ですが、車両・車内の雰囲気・車窓、いずれも駅をすすむごとに大きく変化していくのが興味深く、全国のJRでも魅力的な路線の一つではないでしょうか。

 

f:id:nishiuraexp:20190624202946j:plain和田山駅は改札が中2階にある特殊な構造になっています。

 

f:id:nishiuraexp:20190624203016j:plain駅前は市街地になっていますが行き交う人や車は少なく、特急が停車するジャンクションの駅の駅前としては少し寂しい印象を受けました。

 

f:id:nishiuraexp:20190624203137j:plain待合室にあったキオスクは閉店し自販機が並んでいました。

 

f:id:nishiuraexp:20190624203209j:plain改札付近。

 

f:id:nishiuraexp:20190624203239j:plain和田山駅を発着する山陰本線の列車は毎時特急1本と普通1本です。

特急は上りの場合、大阪行の「こうのとり号」の京都行の「きのさき号」が混在しています。

大阪・京都の行先の別を問わずとりあえず次の特急に乗ると、福知山で、こうのとり号は京都行のきのさき号に、きのさき号は大阪行のこうのとり号に接続するダイヤになっています。

福知山で両列車を連結して福知山~和田山・城崎方面へ運転すればよさそうなものですが、そこまでの需要がないのでしょう。

 

f:id:nishiuraexp:20190624203314j:plain和田山駅は主要駅らしく広いヤードを擁する駅でした。

ヤードの線路は剥がされていますが、大切に保存すれば産業遺産級かと思うような機関庫が荒れた状態で残っていました。

 

f:id:nishiuraexp:20190624203339j:plain乗り継ぎの福知山方面の特急は京都行のきのさき号でした。

 

f:id:nishiuraexp:20190624203418j:plain着席率は4割程です。もう少し遅い時間になると行楽帰りの客で満席になるのかもしれません。

 

f:id:nishiuraexp:20190624203537j:plainいつものJWEST会員向けのe切符での指定席利用です。

実は間違って1本後の列車を予約していたのですが、発券前に気づき無手数料で簡単に変更することかできました。

 

f:id:nishiuraexp:20190624203558j:plain和田山駅を発車後、播但線と別れ円山川の鉄橋を渡ります。

 

f:id:nishiuraexp:20190624203717j:plain和田山の街を抜けると福知山の手前までは長閑な風景がつづきます。

周囲の山裾には鹿よけの柵が張り巡らされています。ローカル区間では珍しくもないのですが、柵のすぐ向こうにいる鹿の姿を車窓から見たのは初めてでした。

 

f:id:nishiuraexp:20190624203748j:plain和田山から27分で福知山に到着。

接続の大阪行こうのとり号へは同じホームで乗り換えることができます。

駅で特急列車が並ぶ光景を見てから特急料金も通算されることを思い出しました。

それならこうのとり号に乗り継いで柏原駅まで歩を進めたかった気もしましたが、当初の予定通り後続の普通列車で加古川線の終点谷川駅に向かうことにしました。

 

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大阪からの下りこうのとり号も到着し、JRホームに3本の特急が並びました。さらに北側には第3セクターの京都丹後鉄道の車両も停車しています。

続きはこちらです。

 

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輸送量は遠鉄並み?活気がある播但線福崎以南(播但線・加古川線訪問記1)

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今回はJR西日本姫路駅から兵庫県播磨地方を南北に走る2つの路線に乗車するミニトリップに出かけます。

 

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最近は週末毎に雨が降っていたように思いますが今日はまずまずの天気になりました。姫路駅舎の2階は「駅前通りと姫路城を描いた大きな絵の額縁」というコンセプトで設計されたようです。

 

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姫路駅山陽本線ホームにある名物の「えきそば」ですが、駅前地下街「グランフェスタ」にも店舗があることは地元の人や姫路を頻繁に訪れる人以外にはあまり知られていないのではないでしょうか。

今回は入店していませんが、ホームと同じ値段で座って食べることができるのでお勧めです。(お城口を出たところにある地下街への階段を降り、突き当たりを右に進んだところにあります。)

 

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さて今回のミニトリップですが、姫路駅から赤のJライン播但線で終点の和田山まで行き、Eライン山陰本線とGライン福知山線(地図では途切れている部分にある福知山駅で両線はつながっています。)で谷川へ。そこから分岐する緑のIライン加古川線で加古川まで南下するという行程になります。

 

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播但線のダイヤは最近までランダムでしたが、ここ数年で若干の増発とともにパターン化が実現しています。

同時期に最終列車の繰り下げも行われ、東京発20時50分の姫路行「のぞみ135号」(新大阪以西への最終便)からの乗り換えができるダイヤになっています。最終列車の終点寺前着は0時51分となり地方交通線に分類されている路線の中ではトップクラスの遅い時刻までの運転です。

 

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姫路駅から播但線や姫新線に乗車する場合、まず神戸線(山陽本線)と同じ改札を通ったあと、

 

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播但線・姫新線の専用改札口を通ることになります。

 

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播但線ホームへの階段には播但線各駅を描いた版画が駅の順番に飾ってありました。

 

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播但線は沿線の生野にある銀山で産出される銀を含む鉱物を姫路港(飾磨港)へ馬車で輸送した時代の「馬車道」にそのルーツがあるようです。

その名残りだったのでしょうか、現在の播但線は姫路が起点になっていますが、国鉄末期までは姫路~飾磨港間も播但線の一部(通称飾磨港線)として運転されていました。

 

 

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ホームに上がると先発の「はまかぜ1号」が山陽本線下りホームに入線するところでした。下りの「はまかぜ号」は姫路から播但線内の福崎・寺前・生野・(竹田)に停車しますが、播但線ホームには入らないので姫路から乗車する場合は注意を要します。

一方、姫路から神戸線に入り、明石・神戸・三ノ宮に停車して大阪へ向かう上り「はまかぜ号」は播但線ホームからの発車です。

 

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「はまかぜ1号」の8分後に発車する10時52分発寺前行きに乗車します。103系2両編成での運転です。

播但線用に改造を受けた103系は3500番台と呼ばれますが、朝夕など2両を2本つないだ4両での運転が多いにもかかわらず正面は非貫通(先頭同士を繋いだ際の通り抜け不可)になっています。

一方「お隣」加古川線の103系(3550番台)はほとんどが2両のまま使用されるにもかかわらず先頭部の通り抜けができるに構造になっているというのは不思議な感じがします。

 

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20人程の立客を出して姫路駅を発車。2駅目の野里駅の先までは高架線を走行します。高架化は昭和50年代でこれも地方交通線としては早い段階で実施されたものです。

 

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マンションが立ち並ぶ野里駅周辺は姫路市街の北の玄関の様相を呈しています。

 

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その野里駅では上り列車と行き違い。対向列車は立客多数でした。

非電化時代の播但線は福崎・寺前など内陸の人が姫路へ出る交通機関としての役割が今以上に大きく姫路市街の入口にあたる当駅手前が最混雑区間だった(つまり姫路行の場合野里からは降りる方が多かった)ようですが、増発やパターンダイヤ導入で姫路市内の気軽な利用が増加し最近では状況が変わっている印象を受けます。

 

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野里駅の先で高架は終わり地平に降りて最初の駅が砥堀駅です。

播但線は平成10年に電化された際、同時に高速化も実施されました。高速化というと軌道強化による最高速度向上をイメージしますが、播但線の場合この砥堀駅と寺前の一つ手前の新野駅への行き違い設備の新設がメインだった印象です。

結果的に姫路~寺前の全駅で行き違いができるようになり、また多くの駅に写真のような安全(脱線)側線が設けられたため行き違い待ちのための停車が最小限に抑えられています。

 

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播但線全線で平行する国道312号線。

昭和48年という早い段階で高規格道路の播但連絡道路が開通したこともあってか、交通量が多い割には姫路市内の一部をのぞいて片側一車線のままで残り、駅近くの住民が姫路へ出かける場合は「電車の方が早い」状況になっているようです。

 

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姫路市内最後の駅「溝口駅」で2回目の行き違い。

姫路~福崎間の各駅は砥堀を除いて1日1000人以上の利用があり、上り列車の場合30分ヘッドの運転でも駅ごとにまとまった乗車があるようです。

 

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姫路から17.1kmを30分弱で走って特急停車駅で折り返し列車も多い福崎駅に到着しました。姫路の都市圏もここで一段落です。

播但線の姫路~福崎の輸送状況に似通っていると個人的に思うのが静岡県の「遠州鉄道」です。遠州鉄道は浜松市の新浜松駅と同市西鹿島駅の間17.8kmを結ぶ地方私鉄で、浜松市の平成の大合併前の人口規模は姫路市よりやや多い程度だったと記憶しています。

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(写真)遠州鉄道の車両と新浜松駅の時刻表 2両が基本・赤丸は4両 2012年撮影

遠州鉄道はその浜松市の近郊輸送を担い、早朝深夜を除いて終日12分間隔のダイヤを実施しています。浜松~西鹿島の運賃は470円。途中16の駅に停車して32分で走行しています。輸送密度は少し古いデータですが11000人程度となっています。

対する播但線は朝夕は10~20分間隔と遠州鉄道に匹敵する運転間隔となっていますが、日中はようやく30分の等間隔ダイヤが実現したばかり。姫路~福崎の運賃は320円。途中6駅で所要時間は25~30分程度となっています。

輸送密度は姫路~寺前で8904人(JR西日本HPより)となっていますので、姫路~福崎に限定すれば遠州鉄道と同等以上になるものと思われます。

両社の比較では、総じて遠州鉄道は播但線に比して運賃は高いものの、頻発運転とこまめな駅設置で輸送サービスの質は運賃差以上の差がある印象です。

播但線は経営的には姫路~寺前の電化区間に限れば黒字と言われています。それは言い換えれば、私鉄の遠州鉄道も駅の統合や減便によって輸送サービスの質を播但線なみにすれば、浜松~西鹿島の運賃を470円から300円程度に値下げすることが可能ということかもしれません。

しかし遠州鉄道の答えはJRの1.5倍の運賃を設定してでも、日中も12分間隔で電車を走らせ 約1km間隔の駅を維持するというものです。

「なぜそのような答えを出すに至ったのか」その背景を一度尋ねてみたいような気がしますし、播但線に限らず四国内の「ことでん」「伊予鉄」(私鉄)とJR四国の比較でも同じことが言えると思います。

姫路・浜松・高松・松山などの都市圏で鉄道を利用する人の数は、東京や大阪で鉄道を利用する人の数に比べれば桁違いに少ないかも知れませんが、最近廃止になったJR西日本の三江線やJR北海道の閑散路線に比べれば桁違いに多いわけで、これらの地方都市圏輸送を適正化することこそが、全国に鉄道ネットワークを有するJRの将来の姿を左右する「本当のローカル線問題」なのではないかと思っています。

  

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福崎から先は車内にも余裕ができ車窓にも田園が広がります。この区間の線路は高速化により最高時速110kmを許容するようになりましたが、103系の車両性能上の最高時速は100km。電車はモーター音を響かせ全力疾走します。

 

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姫路から約45分で播但線の電化区間の終点寺前駅に到着しました。

寺前は「播但」の「播」播磨地方の北端に位置し、「但」の但馬地方の終点和田山駅へはディーゼル列車に乗り換えとなります。

 

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姫路駅播但線ホームへの階段にあった寺前駅の版画。大胆なタッチですが、この駅の本質をよく現しています。

つづきはこちらです。

 

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秋田空港とJAL2176便ミニオンジェット2搭乗記(どこかにマイル秋田旅行6)

f:id:nishiuraexp:20190620161929j:plainどこかにマイル秋田旅行2日目。JAL2176便で伊丹へ戻るため、秋田駅前バス乗場から秋田空港行のバスに乗車します。空港までは930円です。

 

f:id:nishiuraexp:20190620162123j:plain所要時間40分で16時10分頃に秋田空港に到着しました。出発は18時30分ですが初利用の空港でラウンジや飲食店などが気になったのでかなり早めの到着です。

 

f:id:nishiuraexp:20190620162028j:plain1階のJALチェックインカウンター。試しに自動チェックイン機を操作してみましたが搭乗便のクラスJ席は満席でした。

 

f:id:nishiuraexp:20190620162324j:plain2階出発フロア。最近リニューアルされたのでしょうか、それほど広くありませんがベンチや案内表示装置などは新しいものに交換されていました。

 

f:id:nishiuraexp:20190620162422j:plainカードラウンジ「ロイヤルスカイ」を覗いてみます。

 

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大きな窓に面した開放的なラウンジでした。サービス面ではソフトドリンクと各座席のコンセントなど一般的なカードラウンジです。

 

f:id:nishiuraexp:20190620162717j:plain出発便の案内。

搭乗便のJAL2176便伊丹行は18時30分発で到着は19時55分、所要時間は1時間25分ですが、ボンバルディアのプロペラ機を使用する先発のANA1656便伊丹行は17時55分発、19時35分到着で所要時間は15分余計にかかります。運賃が気になったので双方のアプリで確認してみると直前購入の場合JALが33760円、ANAが35460円(ともにエコノミー最安値)となっていました。クラスJに空席があればアップグレードしてもなおJALの方が安いという結果は意外でした。

もっとも筆者のような鉄道ファンは、この値段(3万以上)を支払うくらいならリムジンバスで秋田駅にもどって「秋田新幹線こまち+サンライズエクスプレス」の方がずっと面白いと考えるかもしれません。(まだ夕方ですが、すでに「こまち」+「のぞみ」での関西への日着は不可能です。)

 

f:id:nishiuraexp:20190620162832j:plain出発まで1時間になったのでラウンジを出て夕食にします。出発フロアでレストランと呼べる飲食店は写真の「そら」のみでした。

 

f:id:nishiuraexp:20190620162922j:plain夕食時間帯ですが、価格が市中の飲食店に比べて高めの印象のためかよく空いていました。

 

f:id:nishiuraexp:20190620163013j:plain今日は「温かい稲庭うどん」にしました。いぶりがっこ(漬け物)とハタハタの酢の物のおまけがついています。稲庭うどんはやはり「そうめん」に近い印象ですね。

 

f:id:nishiuraexp:20190620192208j:plain食後保安検査を抜けて搭乗口へ。

 

f:id:nishiuraexp:20190620192322j:plain制限エリア内にも飲食店がありここは市中の店舗に近い価格になっていました。「今後秋田空港で食事をする機会があればここでよいかな」と個人的には思いました。

 

f:id:nishiuraexp:20190620192447j:plain搭乗機は小型ジェット機「エンブラエル190」で「ミニオンジェット2」での運航です。駐機位置の関係で肝心のラッピングを写すことができませんでした。

 

f:id:nishiuraexp:20190620192551j:plain機内でミニオンジェットを主張するものは、この「ぬいぐるみ」だけ。

 

f:id:nishiuraexp:20190620192729j:plainシートの枕カバーや機内放送も通常通りでした。筆者は鉄道・航空問わず「ラッピングもの」はあまり好まないので気になりませんが、ミニオンを楽しみにして搭乗した子供などはがっかりするかもしれません。

 

f:id:nishiuraexp:20190620192901j:plainエコノミーのシートピッチは大型機材と変わりませんが、背もたれが少し低いようです。

 

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f:id:nishiuraexp:20190620193113j:plain秋田空港は本降りの雨でしたが、雲を抜けると安定した飛行がつづきました。

 

f:id:nishiuraexp:20190620193154j:plainドリンクサービスの紙コップは「ミニオンジェット特別仕様」でした。「ぬいぐるみ」はすぐに片付けられたようで機内では唯一の「ミニオン」でした。

 

f:id:nishiuraexp:20190620193305j:plain夏至一週間前ということもあり、20時前でも西の空に明るさが残る大阪の夜景をながめながら降下。

 

f:id:nishiuraexp:20190620193412j:plainバスでターミナルへ向かうことになったおかげでラッピングを写すことができました。

 

f:id:nishiuraexp:20190620193626j:plain伊丹空港にあったミニオンジェット2を前面に出した広告。航空の場合このようなラッピング機に「乗れるかどうか」は運の要素が強いようです。

鉄道の世界ではJR四国が特急列車の車両にアンパンマンのラッピングを施し市販の時刻表にそれを使用する便を明記したところ、統計で確認できるレベルで増客効果があったようですが「固定運用」は航空の世界では難しいのでしょうか。

 

f:id:nishiuraexp:20190620193757j:plainラッピングの話がつづきます。空港駅から利用した大阪モノレールは京急ラッピングでした。

ラッピングは好みではないといいましたが、この車両は全国のラッピング車両の中でも出来映えの良いものの一つだと思います。

大阪モノレールは、羽田空港のモノレール駅に「大阪でもモノレール」と広告を出していたと思いますが「伊丹に着いてモノレール乗場へ行ったら東京モノレールのライバルが客待ちをしていた」というのも面白い話だと思います。

話がそれましたが、伊丹空港着陸時の、旅の終わりにふさわしい美しい機窓を動画に収めましたのでご覧ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。


【絶景】JAL2176便 伊丹空港着陸までの機窓

 

 

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